2008年12月31日
「原点」に帰る(1532)
昨日、無事にヤングスターカップが終了しました。
今年の大会は天候にも恵まれ、素晴らしい大会になったと思います。
大会が終わると正直、ほっとします。
それと同時に、来年に向けての思案を深める時でもあります。
今年も色々とありました。
アカデミーにおいてはもっとも大きく変わった年だと思います。
スタッフが抜け、それによってシステムや環境は大きく変わりました。
大学での講義も始まり、仕事量も増えました。
不安の声もたくさん聞こえました。
もちろん、不安はあります。
でも、私としては「原点」に帰ることができたと感じています。
子どもたちがテニスを通して成長していくために何をすれば良いのか、ということを深く考えるきっかけにもなりました。
答えはすぐには見つかるものではありませんが、テニスをがんばる子どもたちの思いにこたえるために全力を尽くす、これが「原点」です。
長時間歩いてきて、ちょっと疲れたと腰を下ろすと、そこから再び立ち上がって進もうとする時はとても大きなエネルギーが必要です。
こんな思いまでして歩くことに何の意味があるのかと自問することもあります。
そんな時は、「なぜ歩もうとしたのか」ということを振り返ることが大切です。
その時に感じた強い「思い」が再び歩き出すためのエネルギーになります。
今は、そんな「時」かもしれません。
だから、「原点」に帰る、それが一番大切なことだと思います。
このブログも、年初に約束したように、毎日の更新を続けることができました。
これも大きなエネルギーが必要ですが、やり続けること、それは「原点」を忘れないためのただひとつの方法かもしれません。
そんな「思い」を持って、来年はより充実した気持ちで過ごすことができるように全力でことに当たって行こうと思います。
今年も大変お世話になりました。
来年もがんばります。
よろしくお願いします。
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2008年12月30日
テニスかける(1531)
今日、ヤングスターカップの準決勝、決勝が行われます。
私が注目するのは、「どんな思いを持って戦うのか」ということです。
よく「選手を目指す!」と言います。
それは、どういう意味なのかを考えてほしいと思います。
いろいろと考えることはできますが、私は「テニスにかける思いを強く持つこと」だと考えています。
ある一時期でもいいですが、本当にそのスポーツにかけたという「思い」はその後の人生に大きな影響を与えます。
先日、ロングウッドを卒業した子が訪ねて来てくれました。
そのうちの一人は、一時期本当にテニスにかけていましたが、挫折し、いろいろな経験をし、今はアメリカの大学でナンバーワンの選手として活躍しています。
もう一人は、同じくアメリカでテニスを通した活動で充実した毎日を過ごしているそうです。
二人ともとても良い顔で現状を話してくれました。
もちろん、そこに行き着くまでには苦しいことの連続です。
テニスもやめました。
でも、やはり「かけた思い」はどこかに残っています。
それが自分の人生に道を作っています。
そんな気がします。
なかなかテニスにかけることは難しいことです。
テニスにかけて何になるのか、と思ってしまうことのほうが多いと思います。
でも、本当は違います。
リスクを避け、あれもこれも何とかなるように選択してしまうことの方がリスクは大きいのです。
私はテニスを通して「強い生き方」を学んでほしいと思っています。
そのためには「何が何でもテニスにかける」、そんな「思い」を持ってテニスを頑張ってほしいのです。
そんな子どもたちが、どんな戦いをするのか楽しみです。
今日もカメラを片手に観戦です。
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2008年12月29日
練習の風景(1530)
昨日はヤングスターカップの予選でした。
天候に恵まれ、この時期としては大変暖かい中で大会が開催されたことを感謝しています。
また、この時期は大会も多く、参加する選手ももちろんですが、それをサポートする親御さんやコーチもしんどい思いをします。
そんな思いまでして大会に参加したり、大会を企画し、運営するのはなぜなんだろうと考えていました。
別に利益があるわけでもなく、たくさんの労力を使う意義は、大きく言えば子どもたちの成長のためということだと思います。
私ももちろんそうです。
子どもたちが一生懸命に戦っている姿と見るのが好きなんですね。
試合で大切なポイントになると、歯を食いしばってそのプレッシャーに耐えようとする姿や、転んでもなおボールを追おうとする執着心など、練習では見せない気持ちを見ることができるのも楽しみの一つです。
でも、私には一番好きな風景があります。
それは、試合が終わった後、子どもたちが集まって練習している風景です。
試合に負けてしまうと悔しいに決まっています。
でも、もうすでに次の戦いが始まっています。
そのための練習がそこにある、と確かに感じられることが心地良いのです。
成長するとは、毎日、毎日変わり続けることです。
大会とは、植物の生長に例えるのであれば、ちょっと効果のある栄養剤かもしれません。
それだけでは大きく成長することはできません。
毎日の水やりや世話がもっとも大切なことは間違いありませんが、ほんの少しプラスになることがあればうまく成長していくかもしれません。
そんな思いを持って大会を開催しています。
今日から本戦が始まります。
どんな戦いがあるのか、ラケットではなく、カメラを片手に観戦したいと思います。
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2008年12月28日
ストロークにおける膝の使い方(1529)
テニスの科学(8)
テニスの実技指導における最も重要な下半身の動きとして、膝の屈伸伸展運動と体幹の捻転があげられる。
では、テニスのストローク動作における膝の働きと正しい活用のしかたはなんであろうか。
1.膝はサスペンション
スイング動作中の肘関節と膝関節の関節角度変位を測定した実験では、肘の関節角度変位は比較的良い類似性を示し、動作が安定しているの対して、膝の関節角度変位は、上級者よりも初級者の方が安定しているという結果が示された。
この実験ではマシンから打ち出されるボールを打球したのであるが、その落下地点には微妙な差があるわけで、その変化に応じて、スタンスの取り方や身体の動かし方を調整する必要がある。
そして、その調整を担うのが膝の動きの最も重要な働きなのである。
上級者は、膝が車のサスペンションのように、打球されたボールに応じて下半身の動きを調整することによって、安定した上半身のスイング動作を可能にしているのに対して、初級者はステレオタイプ的にしか反応できないために、膝の柔軟性に乏しく、変化するボールに柔軟に対応することが出来ないものと思われる。
実際に指導にあたってみると、初級者はいわゆる「棒たち」で打球しているために、少しでもバウンドが高かったり、低かったりするとミスショットをしてしまうことは良く目にするところである。
とすれば、上半身のスイング動作ばかりにとらわれるのではなく、膝の柔軟性を高めるように指導を行うなど、下半身の対応動作、つまりフットワークの練習カリキュラムを積極的に取り入れる必要があるのではないだろうか。
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2008年12月27日
サービスにおける体幹の捻り(1528)
テニスの科学(7)
サービスでは、体幹部の捻りがより重要になる。
サービスでは、ストローク動作とは違い、高い打点で打つことも求められるために、スタンスを大きくとったり、下半身の動きを大きくして運動量を確保するというよりも、身体の回転する力で打球する技術が大切である。
そのためには軸を安定させ、身体を回しやくすするとともに背筋や腰部の大きな筋肉を引き伸ばすことによって得られる大きなパワーをスイング動作に結び付けていかなければいけない。
そのためには体幹部の捻りが姿勢の維持とパワーの確保という両方に有効に働く。
よく、プレーヤーが足を前方(ネット方向)に引き出しながら、体幹を逆に後ろに捻るような動作をするのは、体幹部を極限まで捻ろうとする試みなのである。
また、よく膝の屈伸を利用して強くうとうとすることがあるが、インパクトにタイミングを合わせるのが難しく、膝が伸びきってしまったところで打球するプレーヤーがいる。
このようなプレーヤーも体幹を捻るように意識することにより矯正できる場合が多い。
身体を捻ることができるようになれば、余分な膝の屈伸が行ないにくくなるのである。
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2008年12月26日
イメージトレーニングをしよう(1527)
テニスの科学(6)
コントロールを高めるためにはイメージトレーニングが効果があるだろう。
実に様々なイメージトレーニング法があるが、大きくいって外的イメージトレーニングと内的イメージトレーニングに分けられる。
外的なイメージとは、外から観察しているいわゆる“見ているイメージ”である。
自分の理想とするプレーヤーのテイクバックの位置やフィニッシュの姿勢などの視角的なイメージが主となり、それを目標としてイメージを思い浮かべながらスイング動作を練習するトレーニング法である。
これに対する内的イメージとは、自分が実際にスイングしているときに関与しているイメージであり、いわゆる“遂行しているイメージ”である。
理想のスイングに近づけるために、身体をどう動かすのかといった筋感覚的なイメージが主であり、肩の捻りや、身体の過重位置やリズム、バランスなどの身体感覚を感じながら行なうトレーニングである。
この2つのイメージトレーニングのうちどちらが重要なかというと、これまでの研究では内的なイメージが主体になるように、つまり自分が実際にスイングしたり、打球している時の身体感覚を感じながらイメージトレーニングをした方が効果が高いようである。
テニスにおいては、姿勢を保持するための背中の感覚、ストロークにおける軸足内側の感覚、テイクバック時の肩後面の感覚と捻り感覚が重要である。
もちろん、このようなイメージトレーニングとともに高い身体意識を構築するための指導が重要になってくる。
そのためには、何度も繰り返すが、応用的な練習だけではなく、身体感覚を感じながらくり返し行なう基礎的練習をおろそかにしてはいけないのである。
また、生徒の欠点をうまく模倣できるコーチは指導がうまいといわれる。
生徒の“身”になってスイング動作を行なうことができるということであろう。
そして、生徒と同じような筋感覚で打球することができるので、もしくはそれを感じ取ることができるので欠点や矯正点を導き出すのがうまいのである。
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2008年12月25日
神を信じる(1526)
今日はクリスマスですね。
良い子のみなさんにサンタさんからの贈り物は届いたでしょうか?
私の下の娘は純粋にその存在を信じているので(だんだんと疑いを持ってはいるようですが)、昨日は何となく聞き分けも良く、おりこうさんにしていたように思います。
強い信仰心がなくても、「神的な存在」を信じることはとても大切なことです。
昨日、上の娘はキリスト教系の学校に通っているので、その学校が毎年行っているクリスマスイブの聖歌の合唱に参加しました。
中学2年生と高校1年生しか参加できないので、今年で最後の参加となります。
もちろん、私は1時間半以上も前に買ったばかりのカメラを抱えて会場入りです。
しかし、もうすでに最前列は人で埋め尽くされ、なかなか撮影場所を確保することもできません。
何千人もの人がこのイベントのために集まってくる、それほどのものなんですね。
私は信仰する宗教は持ってはいませんが、聖歌を聴いていると心に感じるものがあります。
高校は仏教系の学校に通っていたので、何度となく講話を聴く機会がありましたが、その時は何も感じなくても、年齢を重ねてくると心に響くことがあります。
宗教は人間の不安が作り出すもの、というような話を聞いたことがあります。
不安になった時は、誰かにすがり、信じ、安心感を求めることでそれを振り切ることができる、というのはわかるような気がします。
特にスポーツでは、いつも大きな不安が襲いますので、そういう気持ちになることは多いと思います。
多くのスポーツ選手が試合前にお祈りをするのは、そのためなのかもしれません。
実際に強い信仰心は、人の能力を高めるということも言われます。
そういう気持ちになって、それを信じきることで、迷いのないプレーができるということでしょうか。
「自分自身を強く信じる」、それも同じような心理だと思います。
「神」と違って、絶対的な存在ではないので、信じ切るというのは難しいですが、毎日の練習を強い忍耐力でもって続けることで「そういう力」を持つことができる、ということかもしれません。
プレゼントがほしい時にだけ神に祈るのではなく、自分自身を信じるために努力する、そんな姿勢を教えてもらったような気がします。
新しく勝ったカメラは性能も良く、難しい夜の撮影でもまずまずの絵を作ってくれました。
新しいレンズがほしくなってきました。
私にもサンタからのプレゼントが届かないかなあ・・・。
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2008年12月24日
ラケットを選ぼう(1525)
テニスの科学(5)
ラケットを含む道具の開発が、困難な技術を容易なものに変えていった。
木製で質の悪いラケットでテニスをおぼえ、重いラケットに対抗すべく、ラケットカバーなどをつけて一心不乱に素振りの練習で筋力をつけるしかなかった時代から、新素材によるデカラケや厚ラケ、超軽量ラケットの開発によって特別なトレーニングを必要としなくても、十分に力のあるボールを正確にコントロールすることができる今の時代は実に素晴らしいと思う。
しかし逆に、コントロールやスピードを高めるためにはどのようなラケットが適しているのかを考えて、ラケットを選らばなければならない時代なのである。
スピードを出すためならば厚ラケを薦めると書いたが、ではコントロールを高めるためにはどのようなラケット選ぶべきであろうか。
これには二通りの答えが考えられる。
その1は、ラケットをスイングするのに有効な体の使方がまだ取得できていない非常に非力な初級者のプレーヤー、特に女性のプレーヤーには厚ラケと薦める。
初級者のレベルでは前後のコントロールミスはもちろんであるが、左右のコントロールミスが大変多く、非力な女性の初級者の前後方向のミスについては、ネットミスが多いという報告がある。
ネットを容易に越えていかないのである。
このようなプレーヤーには比較的楽に飛んで、左右のコントロールが高くなるラケットが良いはずである。
我々の実験では、オフセンターで打球した場合、厚ラケとレギュラーの厚さのラケットでは4度程度ボールの反射角度に違いがあることが示された。
厚ラケではそれだけ左右への誤差が少ないのである。
また、厚ラケは反発性能が高く、ボールを容易に飛ばせやすいのである。
もう1つの選択は、トップスピンを打ちたい場合である。
その場合、同じスイング速度ならば、回転が多くかかるラケットが望ましいはずである。
レギュラーの厚さのラケットと厚ラケを比べると、はるかにレギュラーラケットの方が回転数が多い。
上級プレーヤーではスピンを重視しており、そのためにレギュラーラケットを使うのである。
通常のラケットよりも長いラケットやフレーム幅の薄いラケットもある。
スイングのバランスや重さなどに問題点がなく、ラケットの長さが長くなっても同じスイングスピードで振ることができるなら、それだけラケット上のインパクト位置のスイング速度は速くなるし、フレームが薄ければそれだけスイング速度が速くなることが期待できる。
トップスピン打法で回転の数をあげるためには、スイング速度をあげることが重要である。レギュラーの厚さか薄ラケで、デカラケ、ロングラケット、これがトップスピンを武器にしたい上級者が使うべきラケットの理想形かもしれない。
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2008年12月23日
感性を磨く(1524)
カメラは「感性を磨く」とても良い道具だ、と書きました。
最近は、いつでもカメラを持ち歩いています。
何か「感じた」時に、さっとシャッターを切るためです。
そんなことを考えながら歩いていると、今まで何とも思わなかったものや風景が違った感覚で見えてきます。
「こんなもの」が、素晴らしい絵として写し込まれていきます。
まさに自分の「感性」が「磨かれて」いく感じがします。
自分の思うようにいかない時、違った視点から眺めてみると良い、と言われることがあります。
自分の今までの考え方に固執してしまうと、見なければならないものが見えなくなってしまう、ということもあります。
そんな時に、「違った視点」が大切になります。
それを見るための訓練が「感性を磨く」ことです。
年齢を重ねてくると、「それ」が失われていきます。
「今まで通り」がすべてであると錯覚します。
「今のまま」がずっと続くと勝手に思い込んでしまいます。
そんな固まってしまった脳みそをうまく解きほぐして、新鮮な空気を入れてやること、それが「感性を磨く」ことに他なりません。
カマラを構え、何げない風景を切り取っていくことで「それ」は磨かれていきます。
これからも「訓練」として続けていこうと思います。
今日の写真は、ある子どもが言った「こんなの撮ってどうするの?」という写真です。
私の「感性」に気づかないのかなあ・・・。
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2008年12月22日
自分流(1523)
コーチとして、子どもたちとどう接していけば良いのかについてはいつも考えます。
コーチング論では、コミュニケーションが一番大切だと教え、そのためには「ラ・ポール」の形成が重要であると説明します。
「ラ・ポール」とは、「心の架け橋」と訳されます。
この橋がうまくかかれば伝えたいこともうまく伝わり、相手の考えていることも正しく察することができるようになります。
しかし、そのアプローチは大変難しいものです。
特に、スポーツの指導する場合には、相手の力を引き出すために、時には厳しく、時にはなだめるように、時には親として、時には友人として振る舞いを変えなくてはならないのでなおさらです。
アプローチを間違うと、緊張感のない練習になったり、逆にピリピリとしすぎたり、うまく子どもたちの力を引き出してあげる雰囲気を作るのは難しくなります。
私は「自然流」でやっています。
自分は自分、できるだけ多くの人に認められるように頑張りはするけれど、「自分流」にはこだわりたい。
意固地になるわけではないけれど、コーチとしてまっすぐに生きていきたい。
そんな気持ちを素直に表現し、飾らずに、熱い気持ちを忘れずにぶつかっていく、そんな感じです。
子どもたちがどう感じているのかよく分かりませんが、子どもたちの青春の一ページに、「こんなコーチがいたなあ」と心に残れば良いと思います。
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2008年12月21日
トップスピンをマスターしろ!(1522)
テニスの科学(4)
ここにおもしろいデータがある。
1970年代を代表する2人の世界的プレーヤーであるジミー・コナーズとビヨン・ボルグのデータである。
御存じのように、コナーズはフラット打法の名手であり、ネットぎりぎりのフラットな打球で相手を追い詰めるタイプのプレーヤーであるの対して、ボルグはハードなトップスピンでのストロークを武器に、デフェンスの強さで世界に君臨した今世紀最高のプレーヤーの一人である。
さて、データであるが、コートの真横から見て、二人の打球したボールの速度や打球角度を想定したコンピュータ・シュミレーションをもとに、ネットぎりぎりに入るときの打球角度と、ベースラインをオーバーしないで相手コートに打球できる最大の打球角度を算出して、その差を比較したものである。
これをみると、コナーズが1度であるのに対して、ボルグは4.5度となっている。
たった1度の範囲内でボールをコントロールするコナーズには驚かされるが、この数値をみる限り、ボルグ有利は否めない。
実際、二人の対戦成績ではボルグが大きくリードしている(シニアツアーではコナーズが断然よい成績をあげてはいるが)。
これは、コナーズが1度の誤差しか許されないのに、ボルグは多少の誤差があっても相手コートに打球できるという利点と、打球角の広さを生かしワイドにコントロールすることが可能であるという利点があることを示している。
そのために、相手を走らせて自分に有利な状態で試合を運ぶことができるのである。
しかし、このデータの解説では、トップスピン打法は速いスイングスピードで打たなければならないので、大きなスイング動作が要求され、早く構えるために(他の打法よりも)素早く移動しなければならないので、一般のプレーヤーには不向きであるとの解説がある。
今から30年も前の話しで、今は、軽量で反発のよいラケットがたくさん生産されており、この当時指摘された欠点は道具の開発によって駆逐されつつある。
そうであるならば、トップスピンの技術を早期に習得しなければならないであろう。
時代が変わって、オールラウンドなプレーが求められるようになっても、トップスピンをマスターすることで強くなる可能性は高くなるはずだ。
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2008年12月20日
目標を明確にする(1521)
テニスの科学(3)
視角は、他の聴覚や筋感覚よりも優位にパフォーマンスに影響することはいうもでもないことであるが、技術の向上に必要な視角能力は、周辺視、奥行きの感覚、動体視力など網膜や皮質視角野に到達する視角入力であるといわれる。
コントールは、大脳中枢に関係する神経系の働きによることが大きいが、周辺視を拡大することで神経の伝達効率が改善されるともいわれ、ボールを注視しながら、周辺に対する視角情報を処理できるようにすることは、的確に相手の位置を把握することになり、ボール打球コースを選択することができる能力に直接的に結び付く。
これはかなり戦術的な側面ではあるが、ボールコントロールといってよいであろう。
奥行きの感覚については、人間にとって難しいものであるようだ。
その証拠を示すと、まず、上空の奥行きについては「錯視」がある。
これは、まったく大きさが同じ月であるのに、天頂にある月は地平線付近にある月よりも小さく見えることからもわかる。
写真でとれば全く同じ大きさに移っているのに不思議であるが、実際に天頂の月は小さく見える。
その原因についてはまだわかっていないそうであるが、視空間が歪められることに違いはない。
これがスマッシュのコントロールミスを引き起こす原因になっているかもしれない。
このような感覚をトレーニングするためには、応用的な練習だけではだめである。
比較的やさしいボールを何度も繰り返して打つ基礎的練習が重要なのである。
スクールなどでは、いろいろなドリルを消化して、目先の楽しみを提供することも必要なことは理解するが、感覚的なものを学習するには単純化された基礎的練習で距離感をつかむことが重要な事は忘れないでいただきたい。
余談ではあるが、サルには人間のような視空間の歪みがないそうである。
これは樹上で生活するサルが錯視をして、毎回のようの樹から落ちていたのでは生活できないことによるそうであるが、サルはスマッシュがうまいかもしれない。
また、コントロールとスピードの関係について調べた実験でも、左右の誤差に比べて、前後の誤差がかなり大きく、前後へのボールコントロールの難しさをあらわしている。
また、初級者に自分の打ったボールが相手のコートのどこでボールがはずんだのかを指摘するように指示すると、じつにばらばらな答えがかえってくるそうである。
これも、前後へのコントロールの難しさを示している。
ボールコントールを高めるためには、視角的な入力反応系の能力を高めることが大切であるが、その場合、道具を工夫することで大きな効果が期待できる。
ネットを不透明なものに切り替えた場合には、通常のネットに比べてネットミスが減少し、ネットの上に的を作り、ここを狙えば自動的にサービスコートに打球できるような方法ではサービスのコントロールが良くなり、ミスが減少したということである。
このように、目標物を明確に指定したりすることは高い練習効果が期待できる。
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2008年12月19日
ボールを見る(1520)
テニスの科学(2)
テニスが上級者のレベルにまで到達するには、
1.インパクト位置と身体との距離感覚(スペーシング)
2.ボールバウンドを見極め、打球のタイミングをあわせる(タイミング)
3.そのときどれくらいの力で打てば良いのか(グレイディング)
という感覚が高まってくれば上級者である。
力を抜くことを意識しながら、フォロースルーまで一気に振りぬくことはグレイディングの調整にも一役買っている。
しかし、タイミングやスぺーシングを調整できなければよいコントロールなど望むべくもない。
どうすれば、タイミングをあわすことができるのであろうか。
答えは簡単である。
それは「ボールをよくみる」ことである。
で、どの地点をよくみるのかというと、それはボールバウンドの地点である。
これは、視角をボールのバウンド地点まで特別な装置を使って遮断してしまうと、極端にコントロールが悪くなるという実験データが示している。
逆に、バウンド地点がよく見えてさえいればそこそこのコントロールで打球することができるのである。
以前、ボールのはずむところを注視することで上達するという、心理学的なアプローチからのテニスの指導書があったが、これはまさに正しい指導ということができるであろう。
もちろんそのタイミングに合わせて、ラケットを振ることを一生懸命に練習しなくてはならないことはいうまでもない。
よく見ることは大切であるが、視角から入力された情報に基づいて素早く動作を対応させるためには、素早い反応動作が重要である。
反応動作を高めるためには、特別なトレーニング機器やトレーニング方法が開発されているが、そんなトレーニングなんて苦しいことはしたくはないし、機器を買う余裕なんてない、という方に特別な方法を伝授する。
それは、何も特別なことではないが、いわゆるスプリットステップである。
スプリットステップを行なうことによって着地したときの反動動作、筋肉のばねや伸張性の反射を利用できるので反応が早くなり、素早い動作や移動できるのである。
素早い動作や移動ができれば、打球動作に時間的な余裕が生まれるはずである。
距離感覚は、打球動作に対して時間的な余裕があればそれだけ正確になりやすいので、正確な打球をコントロールしやすくなるのである。
相手がインパクトするときにジャンプ(15cm程度)の頂点が合うように集中して練習することぐらいはできるだろう。
下手なトレーニングをつむより効果的かもしれない。
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2008年12月18日
コミュニケーション(1519)
コーチング論(1)
コーチングで、一番大切なのは「コミュニケーション」です。
「コミュニケーション」とは、ある人とある人の関係(性)のことを言います。
この関係をできる限り円滑に構築するためには、「相互選択」の自由を認めることです。
「総合選択」とは、お互いのやりたいことを最大公約数的に歩み寄り、理解を示して納得すること、そのように努力することです。
自分の選択ばかりを相手に押し付けていると、そこには必ず反発や反感が芽生えます。
人間はマイナス的な感情の方に強く意識を向けやすいので、一旦マイナス的な感情が生まれるとそれを修復することは難しくなります。
円滑な「コミュニケーション」を壊すことは簡単ですが、取り戻すのは大変な努力がいるのです。
それを乗り越えて、うまく「コミュニケーション」が取れるようになれば、あとは「自分の信念に従って行動すること」です。
「コミュニケーション」を図りながら、周りとの連携をとって行動力を発揮することではじめて「道」は開けます。
コーチングとは、この「道」を、何もないところから切り開いて整備することにほかなりません。
「道」を誤ることも、途中で断念することも、連携不足で資材が調達できず中断することも多々あります。
そうした失敗を繰り返して、うまく「道」を整備できるようになってきます。
困難が多ければ多いほど完成の喜びは大きい、そのことを知っているのが「本当のコーチ」だと思います。
仕事とは、突き詰めて考えていくと、人のため、世のために何かをすることだ、と誰かが言いました。
私も同感です。
いろいろな考えや目標があって、それぞれの仕事に打ち込んでいます。
でも、その仕事がどれくらい人のためになっているのか、世のためになっているのかという視点を忘れていては本当の仕事にはならないというようなことを言っていました。
私の仕事が、どれくらい人のためになっているのか、世のためになっているのかということはわかりませんが、できるだけそうありたいと思っています。
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2008年12月17日
もっと力を抜こう(1518)
テニスの科学(1)
正確にコントロールするためには、発揮される筋力に無駄があってはいけない。
ただ単にスピードを高めるだけであるならば、多少筋力の発揮のしかたに無駄や効率の悪さがあっても、トータルの筋力があれば、他の筋力で補ってそれほどスピードを落とすことはないし、球速が時速2~3kmあがったり、落ちたりしても極端にパフォーマンスに影響を与えることはない。
しかし、コントロールについては、数センチのコントロールミスでゲームを失うことにもなる。
そのために、多くの指導場面では、ボールコントロールを重視する指導が行われるのである。
では、どうすれば無駄な筋力を使わずに打球することが可能なのか。
それには、以前のこの連載や特集でも述べたように、いかに力を抜く(ここでいう力を抜くとは、完全なリラックスではなく、力みのない、適度な緊張状態のこという)のかということである。
無駄な筋力とは、その多くが「力み」につながるのであるが、力を抜くように意識することで「力み」を防ぐことができることはおわかりであろう。
また、巧みな動作(うまいラケットコントロールや身体コントロール)を行なうには、筋肉が一瞬活動を止めて、それから急に活動を開始することが効率のよい動きにつながるといわれている。
筋肉が活動を一瞬止めてから止めることができる準備として、力を抜くということを常に意識して(つまり、適度な緊張状態を保って)いなくてはならないのである。
力を抜くことを意識することで、筋肉が収縮したり、弛緩したりするのをタイミングよく適切に切り替えることにつながるのである。
では、具体的に練習ではどのようなことをすればボールコントロールを良くすることができるのかについて述べよう。
まずは、テニスのスイング動作で最も重要な切り替えポイントでグリップの力を抜くように意識することである。
しかし、ラリーなどを行なっているときに力を抜くことを意識しながら打つことは、初中級者のレベルでは難しいようである。
そのために、やさしいボール出しのボールを繰り返して打つ基礎的練習をみっちり行なって、無意識的に力を抜くことができるように練習を行なわなければならない。
さて、それができたら、つぎにはフォワードスイングからフォロースルーにかけてラケットを一気に振りぬくように打球することである。
速くスイングする必要はない。
ゆっくりでもいいから振りぬくという感覚でスイングして欲しいのである。
よく、インパクトで力を入れるように指導される場合があるが、人間が意識的に筋肉をコントロールするには、スイング時間やインパクト時間はあまりにも短いし、フォワードスイング中にそんなことを意識していては、余分な力が入り、力みにつながったりしてあまり良いことはない。
それよりも、フォロースルーまで一気にに振りぬけばそのような力みにつながることは少なくなる。
そんなことは意識しなくても、そのようにスイング動作を繰り返しているうちに腕の筋肉が、このタイミングで、これぐらいの力でラケットをスイングすれば良いのだということを学習していくのである。
人間は実に良くできているものであると感心させられる。
また、ストロークとは振りぬくことを意味しているではないか。
途中でごちゃごちゃ考えずに一気に振りぬく。
これがコントロールを高めるためのコツなのである。
ただし、力を抜くことを忘れないように。
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2008年12月16日
熟考買い(1517)
新しいデジタル一眼レフカメラを手に入れました。
NIKONのD300でございます。
遠征に連れて行ったコンパクトデジカメの写真の出来が悪かったので「衝動買い」をしたのでは、と思われるかもしれませんが、ちゃんと、しっかりと考えに考えての「熟考買い」となりました。
もちろん、コンパクトデジカメの写真が気に入らないというのはきっかけにはなりましたが、以前から購入の気持ちが高まっていたので、その後押しとなっただけです。
私は、今、某大学で「コーチング論」を教えています。
今日の講義では、「なぜ、コーチング論を学ぶのか?」ということについて話をしました。
私が教えているのは経営学部の学生です。
将来的に、スポーツクラブの運営などに興味ある学生だと思いますが、コーチになるとは思えません。
そんな学生が「コーチング論を学んで何になるのか」、ということを考えてほしかったので、そんな話をしました。
コーチにならなくても、「コーチング論」を学ぶことは意義があります。
それは、「考える習慣」を身に付け、「選択する力」が高まるからです。
コーチというのは、技術を教えるインストラクターや知識を伝えるティーチャーとは違います。
友達でも、お互いが自立し、信頼関係が築けるのであればコーチになることができますが、困難な問題にはやはりコーチが必要となります。
プロのコーチとは、そういう立場を統合したものと言えます。
だから、いつも考えて、最善の方法を探り、より良い解決方法を選択し、ともに目標を達成すること目指す存在となります。
その中でも、「選択する力」がもっとも大切になるのです。
プロのコーチである私は、そういう意味で、大きな「選択の力」を持っていると言えます。
その私が「衝動買い」などするわけはなく、多くの情報を収集し、優れた「選択力」でもって、素晴らしいカメラを購入するに至ったというわけです。
そこが、どこかの「衝動買い魔」とは違うわけです。
さてさて、新しいカメラで何を撮りましょうか。
さしあたっては、娘がセントラルパークで聖歌を披露するので、美しい夜景風景とともに実力を見せたいと思います。
でも、まだ、カミさんには・・・内緒です。
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2008年12月15日
配球(1516)
攻撃には、
・角度で攻める
・深さで攻める
・スピードで攻める
というパターンがあります。
試合に勝つためには、この攻撃のパターンを状況に応じて的確に選択することが重要になります。
これを「配球する」といいます。
単に狙ったところに打つことができたり、威力のあるボールが打てても試合で勝てるわけではありません。
自分の得意な攻撃パターンを確立すること、相手が嫌がる攻めを行うこと、相手の攻撃を防ぐために配球することなどが「強い選手」には求められます。
そのことを理解させてから練習に取り組ませることで、試合における状況判断を向上させることができます。
そのためには、いつでも「攻撃する意識」と「狙って打つ意志」を強く持って練習を行うことが大切です。
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2008年12月14日
身体に覚えこませる(1515)
試合では、当然勝利に対する「欲望」は強くなります。
過度に欲望が高まり、その意識に捉われてしまうと、緊張は大きくなり、その中でうまく自分のプレーを行うことができなことで気持ちが沈み、自分が「勝つ」ためにやらなければならない行動パターンや態度、振る舞いのことなど、すべて忘れてしまうものです。
集中力を高める、気持ちを高揚させるなど、試合中に行うメンタルマネージメントの具体的な方法を理解していても、実際の試合でしか訓練する場がないと、思い切って行動パターンを変えることはできないし、何度も繰り返し訓練しなければ、試合で効果を発揮する行動パターンは確立されません。
このような訓練を何度も繰り返し行うことで、大きな緊張が襲った場合でも、勝つために必要な行動をしっかりと行うことができるようになるのです。
私は頭で理解したことを「身体に覚えこませて」こそ、本当に自分が獲得できた技術であると考えます。
それは、身体的な技術であろうとメンタル的な技術であろうと同じではないでしょうか。
特にメンタル的な技術は、外的な要因(風やコートサーフェイスなどの環境的な条件や、どうしても負けたくないと思う相手に対するこだわりなど)によって、いとも簡単にコンディションを崩したり、調子を落としたりするものなので、より多くの反復練習が必要だと思います。
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2008年12月13日
ストレス(1514)
今回の遠征では大きなストレスを感じました。
子どもたちのことではありません。
実は、遠征用にと、コンパクトデジタルカメラを購入したのですが、この写真機能がいただけない。
このカメラは、なんと1000分の1秒の高速度撮影ができる優れたカメラということで、フォーム分析などにも使えると思い購入しました。
確かに高速度ビデオは大変魅力的です。
私が大学院生の時、フォーム分析に1秒間に400コマの高速度ビデオを使ったことがあります。
その機材は何百万もする高価なものであったことから比べると、安価に高速度ビデオが手に入る喜びは大きいものがありました。
しかし、遠征ではなかなかビデオを撮影することは少ないですね。
ビデオを撮りながら試合を見ることが難しいからです。
ただ単に試合の全景を撮る、というのであれば問題ないかもしれませんが、試合での選手の様子を集中して観て、ひらめきで分析することのほうが大切だと考えています。
だから、試合は集中して観ます(時々寝てしまうこともあります・・・ごめんなさい)。
ビデオはあくまでフォームチェックや課題の確認として活用したいので、試合中に活用することはほとんどありません。
試合では、もっぱらカメラの出番となります。
シャッターチャンスを待ち構え、これは!という瞬間にシャッターを切る、そういう集中力はテニスの分析にも役立ちます。
ビデオと同じではないんですよ。
シャッターを切るタイミングを計りながら、レンズで選手の動きを追うことから見えてくるものはたくさんあります。
そんな思いで写真を撮りますので、ここは!と思った瞬間の写真が撮れないと大きなストレスになるということです。
ところが、今回購入したカメラは、さすがに一眼レフのデジカメとは違い、ほんのちょっとタイミングがずれます。
それが毎回なので、どんどんストレスが大きくなっていきます。
テニスでいえば、当たりそこないのフレームショットばかりのテニスをやっている感じ、と言えば分かりやすいでしょうか。
もちろん、写し込まれた写真も満足できるものは少ないですね。
唯一有難いのは、1秒間に40コマの連写ができるので、連写で撮影しておいて、インパクトが写し込まれたフレームのみを保存するという芸当ができることです。
だから、とりあえず、インパクトをきちんと移し込むことはできます。
でも、多少はずれていても、撮像のきれいな写真が撮れることのほうが大切な気がします。
だから、私は心に決めました(なんていう大げさなものでもありませんが・・・)。
遠征には、必ず一眼レフのカメラを持っていくことを・・・。
ちょっと重いので、何でもかんでもオールマイティにこなすコンパクトカメラに魅かれてしまいましたが、やはり私の「カメラマンの血」がそれを許してはくれないようです(笑)。
カメラは、「感性を磨く」大変良い道具だということを書きました。
今回のことで、それを再認識した次第です。
そうなると、新しいカメラがほしくなるので・・・困ったものです。
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2008年12月12日
勝負強さを鍛える(1513)
私が指導する選手を連れて、ブルネイで開催されたITFジュニアサーキットに参戦してきました。
この戦いの中での印象は、やはり日本人は「勝負弱い」ということです。
技術のレベルに大きな違いがあるとは思えません。
しかし、勝負に対する「執着心」と「気迫」が違うと感じます。
そして、それが勝敗を決めるというのが現実です。
今まで何度かそのような経験を通じて、メンタル(この場合「根性」という言葉が最も的確な表現かもしれません)の重要性を認識し、何度もトレーニングを積んできましたが、「壁」はまだ打ち破れないようです。
「ファイトするこころ」を日本人は失ってしまったのか、と悲観するときもありました。
もちろん、同じ日本人でありながら素晴らしいファイトを示す選手もいます。
ただ、多くの日本人選手がファイトできないで敗れ去っていくのは事実です。
この点を改善する最適な方法があるのでしょうか。
コーチはいつもその答えを探していくものなのかもしれません。
日本の選手は大変よく練習します。
朝早くから夜間の練習まで、私たちが練習に行くと、日本のチームの誰かは必ず練習しています。
地元のコーチにも、
「どうして日本人はそんなに練習するんだ?」
と言われました。
こう書くと、
「試合にまで行って練習しすぎるからいけないのだ!」
と批判される方もおられるかもしれませんが、私が見る限り、身体的な疲労が蓄積して、コンディションを崩し、本番で息切れするほどの練習をしているというわけではありません。
ごく当たり前のこととして練習をしています。
もちろん外国の選手も練習をしますが、練習時間は日本の選手のほうが多いはずです。
でも、試合になるとその力を十分に発揮できないのは、何かその取り組み方に問題があると考えられます。
あるコーチの
「最近の子供たちは、テニスはとてもうまいが強い選手は少ない。」
という言葉が大変印象的です。
私も同感です。
多くのコーチは、指導する子供たちに
「うまくなってほしい」
とはあまり願わないと思います。
「強くなってほしい」
そう願っているはずです。
そのためにいろいろな練習方法を工夫していると思います。
もちろん、同じように練習やトレーニングを積んでも、上達する人とそうでない人がいます。
素質の問題だ!と片付けてしまうのは簡単ですが、私たちコーチが目指すのは、いかに子供たちの力を最大限まで引き出すのか、ということです。
力を引き出すのはメンタルの問題です。
「火事場の馬鹿力」という言葉があります。
これは、人間は窮すると普段は出せないような力を発揮することができることを表した言葉ですが、身体トレーニングだけをしてもこのような力を引き出すことはできません。
これは人間の身体を守るために備わっている大変重要な防御機能なのですが、スポーツの世界では、この安全弁をはずして、身体的には危険な状態まで追い込んでも最大の力を発揮できるような人間が成功するのです。
そのためには、どんな練習をするのかではなくて、どのように練習に取り組むのかがもっとも大切な問題です。
「試合と同じ気持ちで練習をしろ!」
と叫ぶだけではあまり意味はありません。
試合と同じような緊張感や集中力を持って取り組むことができるような練習方法を考える必要があります。
そうした練習を通して、どんな状況にあっても自分の力を発揮する力をつけていかなくてはならないと思います。
試行錯誤は・・・続きます。
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2008年12月11日
平常心(1512)
「平常心」はコーチが持つべきもの、であると思います。
5年も6年も海外の遠征を続けてきて、やっと変な気負いもなく、違和感もなく過ごせていることを感じます。
大会の関係者の方に、
「いつも1回戦で負けてばかりいるのに、今回はいい選手を連れてきたね。」
と言われました。
今までこの大会に連れてきた選手と比べてレベルが高いとは思いません。
しかし、気負うことなく、とても良い緊張感を持って参加できているので、そう感じてくれたのかもしれません。
初めてITFの大会に参戦したのも、ブルネイのこの大会でした。
はじめて参加する大会ということもあって、意気込みも強く、子どもたちに妥協を許さない姿勢は、大きなプレッシャーになったかもしれません。
実際にケガをした選手もいて、日常と違うことばかりを強調しすぎて、「平常心」で臨むことの大切さを忘れていたのかもしれません。
お金もかけます。
時間もかけます。
いろいろなことを犠牲にしてくるので、気合は入りまくりです。
そうした「思い」は大切です。
でも、戦いの場においては、ただ自分のすべきことに目を向けることの大切を説いていかなくてはなりません。
それを指導者自身が出来ないのであれば、それは成果を残すことにはつながりにくいと思うのです。
これから何度遠征を行うのかわかりませんが、「平常心」、それを心に刻んで臨みたいと思います。
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2008年12月10日
基準(1511)
子どもたちに、「人生にとって大切なこと」を教える機会として、海外遠征はとても貴重な場になります。
と、書きました。
視野を広げることができる、とも書きました。
プロを目指すわけではないのに海外への遠征は必要ない、と考えるのは早計です。
いろいろな意義が「そこ」にはあるということです。
なぜなら、「そこ」が「基準」だからです。
濱浦コーチのブログにはこう書いていあります。
*****************************************************
海外遠征=世界への挑戦ではありません。
世界を目指すという事は、
「その時世界中の何処に自分がいても変わらない態度・姿勢で日々の練習・試合に取り組む事」
なのです。
*****************************************************
誰もが強くなりたいと思っています。
強くなるためには、まさに「何処に自分がいても変わらない態度・姿勢」が大切であることを教えてくれます。
日本にいて、ローカルな大会だけしか知らないと、「それ」がよく分かりません。
もっと言えば、自分に「基準」を作ることが難しいとも言えるかもしれません。
もちろん、海外に遠征に出なくても、そうした「基準」を自分の中にしっかりと作ることのできる選手はいます。
でも、海外への遠征は、「それ」を作るきっけかには十分に成り得ると思います。
その時、コーチとしてのサポートがあって、いろいろなことを教えてあげる機会が多ければ、より良いきっかけになると考えています。
そう考えると、遠征を通して自分自身を磨くきっかけにもなっていると思います。
そういう信念を持ってこれからも続けていこうと思います。
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2008年12月09日
ウォーミングアップのトレーニング(1510)
試合はいつから始まるのでしょうか。
審判が「プレイ!」のコールをした時からでしょうか。
そうではありません。
実際に試合が始まる、はるか前から試合は始まっているのです。
プロの選手は、よく対戦相手の試合を見て研究しているといいます。
ある雑誌に、
「クレーバーなプレイで知られるマルチナ・ヒンギスも、他の選手の試合を熱心に観ている選手だ。」
と書いてありました。
戦いはそんなところから始まっているのです。
実際には、多くの選手は、顔もわからない選手と対戦しなければならないケースもあるので、その選手の試合を研究することはできないと思います。
そうであるならば、どのような選手と戦う場合にでも対応できるように、身体の機能を高めておくことにもっと意識を向けなければなりません。
しかし、ウォーミングアップにはどれくらいの時間をかけ、どのような内容のトレーニングを行えばよいのかについて多くの情報があるにも関わらず(もちろんストレッチだけでは十分でないことは理解しているはずです)、きちんとウォーミングアップを行うケースは少ないように思います。
なぜでしょうか。
そこには「邪魔をする変なプライド」があります。
そうしなければならないことはわかっているのに、
「一生懸命練習するのが恥ずかしい。」とか
「一生懸命にやることはかっこ悪い。」と考えて、
「私は一生懸命やらなくても強い選手である。」
というプライドを満足させることを優先させるのです。
これは大変におかしな考え方です。
小さいころからテニスをやっていて、それなりに成績を上げている子には結構多いパターンです。
また、練習前のウォーミングアップを適当にやっていることも原因のひとつに挙げられます。
私は次のような実験をしたことがあります。
早朝練習を行ったとき、練習開始の時間を7時に決めて、それまでに練習ができるようにウォーミングアップを済ませておくように指示しました。
実際にボールを打つミニテニスのようなウォーミングアップは禁止にしました。
そして、時間が来たときに
「さあ、今から試合をしよう。」
というと、
みんなは一斉に「えっ!」というような顔をしました。
そこで、
「では、今すぐに試合ができるものは手を挙げなさい。」
というと、ほとんどの子の手は挙がりませんでした。
ウォーミングアップに対する意識の低さが明らかになってしまいました。
そこで、ウォーミングアップは「試合や練習で自分の持てる能力を最高に発揮するために準備をすること」という認識を強く持つようにアドバイスしました。
それから子供たちのウォーミングアップに対する取り組み方は大きく変わりました。
「戦う」ための姿勢が感じられるようになったのです。
試合は「戦い」です。
そのため自分のすべきことを全力でやる姿勢をまず身に付けなくてはならないと思います。
「出来ないのはやらないから」を徹底して覚えることも必要だと思います。
野球では、走にスランプなしと言われます。
うまく打てなくても、全力で走ることはできるからです。
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2008年12月08日
海外遠征は必要なのか?(1509)
濱浦コーチのブログに対するコメントに対して、大変興味のあるというか、関心の深い話が載っていましたので、紹介したいと思います。
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個人的に、必ずチェックしているテニス関連のブログの投稿記事に、とても興味深いコメントが掲載されていたので、ちょっと引用してみましょう。
「テニスはお金がかかるスポーツ」とは聞いていましたが、今現実に我が子供が海外遠征などをするに際し、正直申して「常軌を逸している」と考えてしまうことがたまにあります。お金が無くても意欲と才能のある子供が世界に挑戦できる環境は作れないものでしょうか。資金面からあきらめざるを得ない子供が日本だけでもたくさんいると思います。
多分、コメントを投稿された方は、ジュニア選手の御両親!?かな、と想像させますが、本音の部分が凝縮されていて、それでいて喧嘩越しではないこのコメント、多くのテニスをするジュニア選手を持つ親の本音ではないでしょうか。
ラケットは競技選手であれば 4 ~ 5 本を、シューズはオムニ用とクレー用とカーペット用、ウェアは試合規定にのっとったもの(T シャツや他の競技用のウェアの流用は難しい)、当然テニスクラブの通常レッスン費、プライベートレッスン代、更に国内の大会遠征費・・・「テニスは間違いなくお金が掛る」スポーツです。
上記に加え、更に海外遠征・・・当然費用が掛るわけですし、海外ともなれば、通常の国内の遠征などに比べて、はるかに大きなお金が必要です。
しかし、日本のテニス界は、「海外遠征をしなければ、強くなれない」といった雰囲気があり、海外遠征をしないと既にテニスでは脱落者のような視線がある、とはある御両親から聞いた話です。
私は、テニスに関係なく、可能な限り早い年代で海外は経験しておくべき、というのが持論です。
海外とは、何もアメリカやヨーロッパである必要はありません。台湾や中国、更には韓国だって海外です。
とにかく、異国の地を可能な限り踏ませておきたい。
パスポートを持ち歩くということ、日本語が通じない世界があるということ、そんな当たり前のことを経験するだけでも貴重な、それでいて必ずや将来的にふっと役に立つはずです。
ただ、そうした持論を展開しているにもかかわらず、テニスという世界に限定してみてみると「常軌を逸している」と感じる部分があるのも事実です。
上記で記述したように、ある御両親のいう「海外遠征をしないと脱落者扱い」というのは、ちょっと行き過ぎた感じもしますが、「海外遠征 = 強者の最低条件」といった雰囲気はありますよね。
上記のコメントで主張されているように、「お金が無くても意欲と才能のある子供が世界に挑戦できる環境は作れないものでしょうか」というのは、我々ジュニアテニス選手の全ての親が願っているのではないでしょうか・・・
*****************************************************
丁寧に書かれていて、とても深く考えさせるものです。
確かにお金はかかります。
私に十分な資金があれば、それを投資したいとは思いますが、残念ながらそれは難しい話です。
それでも、スポンサーを探し、できるだけ費用がかからないように工夫して遠征を計画しています。
この方の記事に対する私のコメントも載せておきます。
ジュニアの海外遠征を行っている立場の人間にとって、この問題はいつも頭にあります。正直、どれくらい続けられるのかはわかりません。
少し前までは、関東のクラブのようにアメリカなどに遠征に行くのが当たり前、の感覚は薄れているように感じます。
そうした経験を積むよりも、もっと日本での練習や試合にお金をかけたほうが良い、という考え方のほうが多くなってきたのかもしれません。
しかし、「テニスに関係なく、可能な限り早い年代で海外は経験しておくべき」というのは私の持論でもあります。
そのためにスポンサーも探し、自分の経費はできる限り削って費用を抑えます。
自分が親であったらの、立場を忘れないように、できる限り費用をかけないで経験できる大会や遠征を工夫します。
そうした思いを持って大きなエネルギーを使って海外に遠征に出ます。
それは、人生に役立つからです。
ジュニアを海外まで引率するコーチは、責任も大きいですからとても大きな情熱とエネルギーを持っていると思います。
そのエネルギーが子どもたちの夢につながれば良いと思っています。
私の情熱だけでは難しい問題もたくさんあります。
それでも、子どもたちに、「人生にとって大切なこと」を教える機会として、海外遠征はとても貴重な場になります。
私にそういう思いを持たせてくれた指導者の皆さんは、本当にすごい情熱を持って遠征に出ていました。
そのエネルギーを指導者として持ち続けること、それが子どもたちを指導する者にとって何よりも大切であることを忘れずに、これからもできる限りの努力をしていこうと思います。
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2008年12月07日
異文化に触れる(1508)
今日の朝、日本に帰国しました。
真夏の気候から冬の日本に帰ってくると、さすがにその寒さが堪えます。
今日の午後は練習をしましたが、つい何時間前までは半袖短パンでいても汗が出て仕方がない所から、ベンチコートに手袋をはめてレッスンを行わなくてはならない所に簡単に移動できてしまうのはちょっと不思議な感じもします。
飛行機でたった6時間余りなのに、その気候の違いには驚きを感じます。
もちろん、そこに住む人種も風習も食べ物も違います。
どうしてそのような違いが生まれたのかについてはよく分かりませんが、何年もかけて作り上げられてきたものが、すごく身近に感じることができるというのは結構すごいことだと思います。
海外に行くことの魅力のひとつは、その異文化に触れることにあります。
こんなに近いのに、なんで言葉が違うのか、人種が違うのか、風習が違うのか、不思議に思うことが面白いのだと思います。
もちろん、その違いがあるからうまくコミュニケーションがとれなかったり、トラブルを恐れて躊躇したりします。
でも、好奇心でそれを乗り越えた時に見えてくるものは、とても大きな意味のあるものだと思います。
今回の遠征に参加した子どもたちは、単に海外で試合をしただけではなく、外人と試合をしたというだけではなく、異国の地の文化に触れ、言葉の違いを乗り越えて友達を作り、自分の視野を広げることができたという感覚を大切にしてほしいと思います。
テニスを通して大きな人生のための勉強をする、これはテニスを指導する者の大きな目標の一つです。
そのために大きなエネルギーを使って海外に遠征に出ます。
子どもたちの人生に何か刺激になったのであれば良いと思います。
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2008年12月06日
継続の力(1507)
今日、優がコンソレーション決勝のファイナルセットを戦い、相手選手のマッチポイントを凌いで、タイブレークをものにして見事に優勝を果たしました。
まだ課題が十分に克服できているとは思えませんが、今回の遠征を通して戦い方の基本のようなものができつつあると感じます。
この感覚を忘れないように継続して練習してほしいと思います。
大会も全日程を終了しました。
それぞれに課題を再確認し、自分のすべきプレーをしっかりとイメージし、戦う気持ちを強く持つことができた、そんな遠征であったら良いと思います。
遠征に出ることの意義は何度も書いてきましたが、正直、その成果が表れているのかどうかについてはよく分かりません。
しかし、多くの時間を子どもたちと過ごし、強くなるために必要なことを話し、たくさん練習したことは、少なくとも印象としては強く残っていると思います。
その中から、何か強く「思い」に触れるものがあったのであれば、それは間違いなく次のステップにつながるものであると思います。
もっとも大切なことは「継続の力」です。
思ったことを、どれくらい続けていけるのかが大切な鍵になります。
私もこの遠征を通して感じたことや思ったこと事はあります。
その「思い」を強く持って、忍耐強く指導していこうと思います。
明日の朝に帰国します。
寒い日本に帰ることはちょっと憂鬱ですが、子どもたちの元気な姿を見るのを楽しみに帰りたいと思います。
強化Bクラスのみんな!約束通りにちゃんとお土産買って帰りますので、楽しみに待っていてくださいね。
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2008年12月05日
思いを切る(1506)
大会も4日目を迎え、今日はコンソレーションが行われました。
こうした大会でコンソレーションまで行ってくれる大会は稀です。
大会をさっさと終わらせてゆっくりしたいのではないかと思わせるような運営も多いものです。
日本で行われる大会もあまり余裕があるとは思えませんが、この大会は選手のことを本当によく考えて運営されています。
宿舎の管理、ショッピングモールまでの送迎、空港への送迎、練習コートやボールの管理、本当に選手が気持よく参加できる大会だと思います。
とても安全な国であるということに加えて、こうした配慮を心地よく感じるので、何度も参加しようという気になります。
今回参加した子どもたちにも、そうした感謝の気持ちを持って帰国してほしいと思います。
さて、本日行われたコンソレーションで、和典は台湾選手の強いスピンボールに押し込まれ、切り返しのショットのミスを繰り返して敗退しました。
まだまだ戦う姿勢が高いと感じることはできません。
自分の強い気持ちを表現できるように訓練していかなくてはならないと思います。
同じくコンソレーションを戦った更紗と優は順当に1回戦を勝ち上がり、準決勝で対戦することになりました。
準決勝では、粘り強い返球とチャンスボールの思い切った打ち込みで勝った優が決勝にコマを進めました。
更紗は、課題であるフットワークを磨いて、優れた打球感覚を活かせるようにしていくことでさらに成長できると思います。
高い意識を持って練習してほしいですね。
決勝を戦った優は、準決勝と同じく、粘り強い返球と思い切ったショットのコンビネーションが冴えて、ファーストセットを簡単に奪ったものの、課題のサービスからリズムを崩し、セカンドセットを落としました。
その後、雨のため明日に順延となり、ファイナルセットのみを戦います。
今日のような戦い方をすれば十分に勝機があると思うので、気持ちを高めて挑んでほしいと思います。
明日は大会も最終日となり、決勝が行われます。
決勝にすすむ選手は、やはりとても高い資質を持っています。
自分との違いや、目指すべき指標を見つけることができるように観戦したいと思います。
我々の戦いは、明日の優のコンソレーションを残すだけとなりましたが、全体的に感じることは、「思いを切る」ことができないということです。
どうしても勝ちたい、と強く思うときは、どうしても勝ちたいという「思い」を切らなければなりません。
その「思い」を切ることができないと、不安や恐怖が襲い、思い切ったプレーができません。
だから、ゲームの流れもつかむことができません。
「思い」をきることはむつかしいことです。
だから、顔を上げて、気持ちを高め、声を出して、弱みを見せないように振る舞い、思いを切っていく、それが強くなるための唯一の方法です。
それを強く感じることができない・・・それが課題です。
子どもたちにはそのことを強く認識して、日々の練習の中でしっかりと訓練してほしいと思います。
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2008年12月04日
チャンスがつながる(1505)
大会も3日目を迎え、綾、晃子、美希がシングルスの2回戦、将司が3回戦を戦いました。
将司は、第12シードのインドネシアの選手との対戦で、相手の緩急をつけた攻撃にうまく攻撃のリズムが作れませんでしたが、うまくネットプレーを織り交ぜて食い下がり、五分の戦いに持ち込みますが、最後の詰めを欠いて惜しくも敗れました。
ショットのレベルも配球のレベルも上がってきているので、戦術面の充実と攻撃パターンの確立が必要です。
綾は、第4シードのマレーシア選手をもう一歩のところまで追いつめました。
ファーストセットは、相手選手のスピードについていけずにミスを繰り返してリードを奪われ、簡単に落としましたが、セカンドセットに入ると、徐々に対応力も上がり、大切なポイントでの積極的な攻撃も功を奏して、このセットを奪いました。
ファイナルセットは、立ち上がりの悪さをつかれてリードを奪われましたが、ここでも積極的に攻撃を仕掛け、何度もゲームポイントを奪いますが、そこでのショットに精度を少し欠いて惜敗しました。
自分のすべきプレーはまずまず出来ていると思うので、それを確実に実践できるように訓練して行けば良いと思います。
晃子は、第7シードの台湾選手との対戦でしたが、相手選手の粘り強いプレーにミスを繰り返し、自分の良さを出せないまま敗退しました。
やはり課題のラリーの能力の向上とフォアハンドの攻撃的なショットの精度を上げることが重要です。
美希は、相手に弱みを見せないで戦うことを課題として、第8シードの台湾選手に挑みました。
積極的な姿勢と攻撃的なショットで相手を追い込み、ポイントではリードを奪いますが、大切なポイントで力みからミスをして惜敗しました。
敗れはしましたが、戦う姿勢は高く評価できるので、それをどんな時も続けていくことが大切です。
ダブルスでは、更紗と美希の組が台湾のペアと対戦しましたが、ストロークでは五分以上の展開をするものの、ポーチを中心としたネットプレーの精度の差が出て敗退しました。
動きの中でのネットプレーの練習を繰り返して、対応力を高めていかなくてはならないと思います。
本戦は今日ですべての日程が終了し、明日からはコンソレーションの戦いがあります。
自分の課題をしっかりと認識して、高い集中力を持って戦ってほしいと思います。
今回の大会は、参加した7名の選手のうち、5名がポイントを取得するという好結果となりました。
いろいろとラッキーな面もあったと思います(トラブルもありましたが・・・)が、ここで得たポイントは次のチャンスを大きく広げます。
しかし、そのチャンスはテニスの向上にだけ役立つものではありません。
自分が人間として成長するきっかけを多く持つことができるということです。
今日の朝、全員がきちんと挨拶ができませんでした。
こうしたことを含め、選手として多くの人から評価される行動ということは何か、ということを良く考えて行動できるようにならなければなりません。
優れたスポーツ選手がみな礼儀も正しく、人間として優れていると言うつもりはありません。
そうではない選手もたくさん知っています。
しかし、行動を高く評価される選手にチャンスが多くあるというのは真実です。
みんなは「強くなりたい」と言います。
人並み外れた才能があるのであれば、振る舞いの問題はあっても成績を上げてくるものですが、そうでない選手が高い成果を上げるためには多くの「チャンスを活かす」ことがとても大切です。
挨拶がきちんとできる、自分のすべき行動が正しく判断できる、コミュニケーションがうまく取れる、時間に遅れないなど人に迷惑をかけない行動がしっかりとできる、ことなどは、すべて「チャンスを活かす」ことにつながっていきます。
そのことを理解してほしくて、私は「うるさいおやじ」になります。
面倒な仕事だとは思いますが、「チャンスがつながっていく」ためには大切なことなので何度も繰り返し教えていかなくてはならないと思っています。
今日一日の行動を観察していました。
しっかりとした行動ができていたと思います。
そうした行動を続けて、「チャンスがつながって」いけばいいなあ・・・と思います。
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2008年12月03日
当たり前の行動(1504)
今日は昨日の残り試合とダブルスが行われました。
美希は、マレーシアの選手との対戦でしたが、相手の凡ミスにも助けられて完勝し、明日の2回戦に進みました。
更紗は、台湾選手と対戦し、相手選手の両サイド両手打ちからの緩急のあるボールに自分のペースをつかめず、時折鋭いショットでエースを奪うものの4ゲームを取っただけで敗退しました。
美希も更紗もショットを打つ時の強さがあまり感じられないのが気になります。
将司は、第7シードのマレーシアの選手との対戦でした。
序盤は、左利きから放たれる鋭く曲がるサービスをうまく返球できずにリードを奪われましたが、徐々に粘り強い返球ができるようになり、タイブレークまでもつれこみました。
残念ながらこのセットを落としましたが、セカンドセットに入ると、対応力も上がり、その粘り強さに相手は簡単なミスを重ね、中盤からペースをつかみ、そのまま奪うと、ファイナルセットは1ゲームしか与えずに勝ち上がりました。
粘り強さに加え、配球のレベルも上がってきているので、明日の対戦が楽しみです。
和典は、第1シードのインドネシア選手との対戦でした。
ファーストセットは、相手のうまい配球に翻弄され、1ゲームも奪えずに落としましたが、セカンドセットの中盤から切り返しの精度が上がり、何とか食い下がりますが、最後まで強さを表現できないのが響き、振り切られました。
とても良い資質を持っていますが、強さの表現においては不十分だと言わざるを得ません。
それを克服し、強さを求める高い意識が備わることを期待します。
高校生の女子選手は、ダブルスのみ対戦があり、綾と晃子のペアは、マレーシアのペアとの対戦でした。
ショットの威力では上回っていると思いますが、課題の思い切ったプレーができず、守りのテニスに終始し、惜しい敗戦となりました。
自分たちがどのようなプレーをしなければならないのかは分かっているはずですが、ポーチも少なく、相手の隙を突く攻撃も見られずにミスを重ねて敗退したことを大いに反省し、次のステップにつなげなければ意味はないと思います。
台湾の選手と組んだ優は、同じく台湾同士のペアとの対戦になりました。
思い切ったプレーも随所に見られ、互角の展開に持ち込みますが、ファーストポイントでダブルフォールトを重ね、相手を精神的に有利にさせてしまうことが多く、惜敗です。
サービスを中心に、安定したショットを身につけること、これを克服しない限り勝つチャンスは少なくなります。
美希と更紗の組は、台湾とマレーシアのペアとの対戦でした。
序盤は相手の鋭いショットに対応できずに簡単にファーストセットを落とし、セカンドセットもリードを許す苦しい展開でしたが、そこから美希の思い切ったダウンザラインでプレッシャーをかけ、形勢は逆転しました。
ファイナルセットのスーパータイブレークでも、相手は守勢でのミスを重ね、シーソーゲームでしたが、思い切ったショットを苦しい場面で打ったことが最終的には勝利に結びつきました。
明日は第4シードとの対戦になりますが、今日と同様に思い切ったプレーを心掛けて戦ってほしいと思います。
将司と和典のペアは、台湾のペアとの対戦でしたが、ストロークのラリー戦では押し気味に展開するものの、ネットプレーとリターンの不安定さが響き、惜敗しました。
まだまだネットの動きやショットの正確性には課題があるので、高い意識を持って練習に取り組んでほしいと思います。
明日は、綾と晃子、美希、将司のシングルス、更紗と美希のダブルスがあります。
やはり期待するのは自分の持てる力を十分に発揮し、相手と戦う姿勢を高く感じられる試合です。
正直、今日の試合を見ていて、そう感じられることは少なかったですね。
試合後のミーティングでは、そのことについて話をしました。
・どんな状況でも相手に弱みを見せないこと
・相手がプレッシャーを受ける強いショットを打つこと
・思い切ったプレーで流れを引き寄せること
をプレー中の課題として、「何が何でも」という気持ちでやりきることの重要性を強い口調で諭しました。
「どうしても」の思いが強いので、口調は厳しくなりますが、それを理解し実践することでしか強くなれないことをしっかりと認識してほしいと思います。
そして、準備ができていないことを厳しく指摘しました。
ウォーミングアップはもちろんのこと、クールダウンや試合後の報告、課題への取り組みなど、遠征に来ているので時間は十分あります。
その時間を有効に利用し、強くなるためにするべきことをしっかりとやりきること、そして、それが「当たり前の行動」になるように訓練していかなくてはなりません。
特別な時に、特別なことをするのが大事ではなく、すべきことを「当たり前のようにする」ことができて強くなっていきいます。
そういう高い意識を持った選手に成長してほしいと思います。
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2008年12月02日
コーチのタイプ(1503)
今日から大会は本戦が始まり、高校生はみんなファーストラウンドに組まれました。
優は、時折素晴らしいショットでエースを奪うものの、台湾選手の粘り強いストロークを崩すことができず、初戦敗退となりました。
綾は、日本人の中学生が相手でしたが、課題の思い切ったサービスを武器に自分のペースを崩すことなく完勝です。
晃子もマレーシア選手の速いボールに対してうまく対応し、2ゲームしか与えずに明日の2回戦に勝ち進みました。
明日はともに厳しい戦いになると思いますが、今日のような戦い方ができれば十分にチャンスはあると思います。
将司と和典はラッキールーザーとの対戦でしたが、台湾選手と対戦した将司、日本人選手と対戦した和典、ともに力の差を見せて圧勝し、明日の2回戦に進みました。
明日の戦いに勝てばポイントの取得となります。
今日のような展開に簡単に持ち込むことのできない苦しい戦いになると思いますが、自分のテニスをやりきる、そんな気持ちで戦ってほしいですね。
美希と更紗は雨のため明日に順延となりました。
明日はシングルスを2回、ダブルスを1回戦うことになるので、身体的には厳しい状況になるかもしれませんが、強い選手に成長するためにはタフさを身につけていかなくてはならないので、二人がどれくらいのレベルにあるのかを確かめる良い機会になると思います。
どちらにしても目一杯の力を出し切る戦いを期待します。
今、こうして海外まで来て遠征のサポートをしているわけですが、結構疲れます。
多くのコーチが疲れやストレスと闘いながらも遠征をサポートするのは、子どもたちの成長していく姿を見たいという好奇心と情熱に支えられているからです。
その熱意に支えられながらサポートを行いますが、うまくストレスを解消する方法を持っている人が多いように思います。
一番多いのは、お酒を飲んで気分転換を図る人です。
会場に集まってきたコーチをうまく誘って、すぐに打ち解け酒を飲んでコミュニケーションを図ります。
性格的にも明るい人が多いですね。
私はお酒が一滴も飲めないので、このようにお酒の場を使ってうまくコミュニケーションをとるのが苦手です。
だから遠征では一人の時間を作って、本を読んだり、パソコンの前に座っていることが多いですね。
そうして一人でいることが苦痛ではないので、そういう意味では、一人で遠征をサポートしなければならないことに対するストレスは少ないほうかもしれません。
見た目と普段の行動からはそう思われないないのかもしれませんが、「オタク」っぽい行動を好んでするほうだと思います。
逆に多くのコーチと毎日顔を合わせて出かけるというような状況のほうが苦手かもしれません。
遠征をサポートするコーチにはいろいろなタイプがあるということです。
どちらにしても大きな情熱と深い愛情を持っていると思います。
それを支えにこれからも遠征のサポートをしていこうと思います。
明日は多くの試合が組まれています。
雨が心配ですが、体調に注意しながら頑張ってほしいと思います。
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2008年12月01日
トラブル・・・続く(1502)
今日もトラブルでした。
午後には宿泊施設にチェックインできるはずでしたが、施設の清掃管理に時間がかかって午後8時を過ぎてもチェックインできず、少しいらいらした時間を過ごしました。
今日行われた予選も途中4時間余りの雨天による中断があって、少々疲れもあったので尚更不満が募ります。
やっとチェックインできたと思ったら、他の大会と重なっているために部屋数が足りないということで、女子は4つのベッドに5人が寝ることになりました。
部屋は広いので問題ありませんが、ちょっと窮屈ですね。
それでも寝るには問題なさそうですが、男子はシングルベッドが2つの部屋に3人で、ということになりました。
さすがにこれは無理ということで、急遽、私だけがオフィシャルホテルに宿泊することになりました。
余分にお金がかかりますが、何とかやりくりして試合に専念できるようにしたいと思います。
こうしたトラブルはないに越したことはありませんが、大会側は一生懸命に仕事してくれています。
今まで何度も助けていただきましたし、その労力には感謝しています。
その気持ちを忘れなければ、トラブルはとても良い思い出にもなります。
これが遠征に出るもうひとつの楽しみかもしれません。
今日行われた予選は、将司は1回戦をブルネイ選手相手に完勝し、2回戦も韓国の選手を後半のギアチェンジで退け、明日の本選に勝ち上がりました。
和典もシンガポールの選手の思い切ったプレーに凡ミスを繰り返すことがありましたが、後半は粘り強いラリーで圧倒して同じく本選に勝ち上がりました。
実はタイの選手がほぼ全員キャンセルということになって、予選参加者は全員本選になったようで、明日は二人とも予選敗退者との対戦になりました。
1回戦の相手としてはラッキーだと思いますが、今日のプレーの反省点を生かして勝ち進んでほしいと思います。
女子の選手は雨で十分な練習はできませんでしたが、調子は上がってきているようです。
綾は日本人選手、晃子はマレーシア、優は台湾、更紗は台湾、美希はマレーシアの選手とそれぞれ対戦します。
相手がどんな選手であれ、自分の力を十分に発揮することが何よりも大切です。
今回のトラブルが強い気持ちをもたらすような気もします。
変えられないものを受け入れ、気持ちを高め、相手と戦う姿勢を高く持って戦うこと、そういう戦いが見たいと思います。
今日はホテルで少し豪華な食事をして、前夜祭というところです。
今からシャワーをしてゆっくりと休みたいと思います。
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