2008年12月28日
ストロークにおける膝の使い方(1529)
テニスの科学(8)
テニスの実技指導における最も重要な下半身の動きとして、膝の屈伸伸展運動と体幹の捻転があげられる。
では、テニスのストローク動作における膝の働きと正しい活用のしかたはなんであろうか。
1.膝はサスペンション
スイング動作中の肘関節と膝関節の関節角度変位を測定した実験では、肘の関節角度変位は比較的良い類似性を示し、動作が安定しているの対して、膝の関節角度変位は、上級者よりも初級者の方が安定しているという結果が示された。
この実験ではマシンから打ち出されるボールを打球したのであるが、その落下地点には微妙な差があるわけで、その変化に応じて、スタンスの取り方や身体の動かし方を調整する必要がある。
そして、その調整を担うのが膝の動きの最も重要な働きなのである。
上級者は、膝が車のサスペンションのように、打球されたボールに応じて下半身の動きを調整することによって、安定した上半身のスイング動作を可能にしているのに対して、初級者はステレオタイプ的にしか反応できないために、膝の柔軟性に乏しく、変化するボールに柔軟に対応することが出来ないものと思われる。
実際に指導にあたってみると、初級者はいわゆる「棒たち」で打球しているために、少しでもバウンドが高かったり、低かったりするとミスショットをしてしまうことは良く目にするところである。
とすれば、上半身のスイング動作ばかりにとらわれるのではなく、膝の柔軟性を高めるように指導を行うなど、下半身の対応動作、つまりフットワークの練習カリキュラムを積極的に取り入れる必要があるのではないだろうか。
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