2008年07月31日
近くに感じる(1378)
何年か前の正月は休みをとって、家族と北海道に出かけました。
私のような仕事をしていると、子どもたちが休みになると忙しくなるので、なかなか家族と一緒に出かける機会はありません。
子どもたちが大きくなると学校などの関係でますます機会は減っていきます。
久しぶりにのんびりと家族と過ごす時間を楽しみました。
せっかくの機会なので時間を惜しんでいろいろなところに出かけたのですが、家族全員が楽しみにしていたのは、何といっても旭川にある「旭山動物園」です。
さまざまなメディアで取り上げられる機会も多いので知っている方も多いと思います。
旭山動物園の魅力は何といっても動物との距離が「近い」ということですね。
ペンギンがすぐ目の前をヨチヨチ歩く。
白熊が目の前でえさを食べ、泳ぐ。
トラがガラス一枚隔てて寝そべっているので、その大きさが実感できる。
ヒョウが触れるぐらいの距離にいるので、毛並みまではっきりとわかる。
へんぴな所(旭川の皆さんすみません!)にある動物園がなぜここまで人気があるのかは、「ここ」にくればはっきりとわかります。
これだけ「近く」に動物と接することができるのであれば、来る「価値」はあると強く思います。
私は初めて動物園で遠くからしか見ることができない動物とはこういうものなのかと理解することができました。
人は何に対しても、「近く」に感じることができる時、自分の気持ちをそちらに寄せようとするのではないでしょうか?
人と接する場合は特にそうです。
その人を「近く」に感じることができれば気持ちは寄っていきます。
誰かに以前「大島さんは距離が近い感じがする」と言われたことがあります。
明るい人柄とか、人なつっこい性格だからというのもあるでしょうが、「近い」というのは強い信頼関係を示しているようでとてもうれしい表現です。
自分が伝えたいことをうまく伝えたり、人の思っていることを感じようとすれば距離が「近く」なければなりません。
人間と人間の関係が稀薄になっていると言われる昨今にあって、その距離を縮めていく努力がとても大切な気がします。
まだまだ子どもたちとの距離が「遠いなあ」と感じることも多いですが、できるだけ「近く」に感じることができるように心がけたいと思います。
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2008年07月30日
試験監督(1377)
昨日、はじめて試験監督を行いました。
試験というのは、自分の今現在の力を知るためにとても有効な手段だと思います。
もちろん、それだけですべての評価が決まるわけではありませんが、点数としてあらわされるのはとても面白いと思います。
私はそんなふうに考えるので、試験、テストいうものが好きでした。
まめに勉強する方ではありませんでしたが、試験期間中は部活動は休みになるし、早く家に帰ってくることができるので楽しみにしていたように思います。
私は家に帰ってくるとまず寝て、夜中中起きて、そのまま試験を受けに行く、という、今はやりの脳科学的な勉強法からは外れてしまうやり方でしたが、夜中に聞くラジオ番組「オールナイトニッポン」を毎日楽しみに聞いていました。
普段はなかなか聞くことができないので、勉強も半分ほったらかしで真剣に聞いていたように思います。
さて、テストの結果はと言いますと、胸を張って、とまではいきませんが、まあまあの出来ではなかったでしょうか。
少なくとも、その時自分でできることは最後まであきらめずに一生懸命考えて回答していました。
そうするのが当たり前のように思うのですが、昨日の試験では、開始早々に居眠りをはじめてしまう学生や、ほとんど回答もしていないのにあきらめたようにペンを回している学生もいて、何だか試験を受けるのがもったいないようにも感じました。
まあ、すべての学生が高い興味を持って講義を聴いているわけでもないので、そうであれば試験に対してきちんと勉強する気はなかなか起きませんね。
もちろん中には一生懸命に勉強して試験に臨んだと思える学生も何人かいて、頭を抱えながら回答に挑む姿を微笑ましくも見ていました。
そんな人間観察をしていると、1時間の試験時間はあっという間に過ぎていきます。
これからの採点は人数も多いのでちょっと大変ですが、試験の時の動向なんかを振り返りながら、真剣に、しかも楽しみながらその時間を過ごしたいと思います。
学生のみなさん、試験は難しかったですか?
私としては基本的な問題ばかりを出題したつもりですが、どうだったでしょうか?
私もあまり真面目な学生ではありませんでしたが、学生である以上はこれから何度も試験を受けなけばなりませんね。
ならば、その時間を「楽しむ」ことができるようにした方が良いと思います。
そのためには、「試験は自分の能力を知るとても良い機会である」と考えた方がいいですね。
みなさんの追試がないように祈ります。
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2008年07月29日
「想像力のない奴は強くなれない」の法則(1376)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -154-
自分の成功をリアルにイメージできない人は成功しないと言われる。
スポーツではこれが顕著に現れる。
まったくの夢のようなイメージも必要であるが、具体的に自分の力量を把握しながら、今の自分が最大限に力を発揮したときにはどんなふうになることができるのかについて「想像力」を働かせることができる選手は強くなる。
これが法則である。
「想像力」を鍛えるには方法がある。
ひとつは強い選手の試合を「見る」ことだ。
この前、指導している子どもと一緒にある選手の試合を見た。
この子にとって「見る」必要があると強く思った選手の試合だ。
試合の後、その子は「試合を見るのって大変疲れますね。これなら試合をやっていた方がいいです。」と私に言った。
「ようやくわかってくれたか!」という思いである。
よく「コーチは試合を見ているだけだから疲れないでしょ。」と言われることがある。
「ふざけるなあ!」と言いたい気持ちをぐっと堪える場合も多く、「忍耐力」を発揮して「そうだね」とニコッと笑う自分を褒めていた。
実際に試合を「見る」というのは大変疲れる。
特に「この試合」という思いがあるときは感情移入の度合いも強いので、実際に試合をやったかのようにドッと疲れが出る。
しかし、そのような試合ほど自分にとっていろいろな「想像力」を駆り立ててくれる機会になる。
「どんな練習やトレーニングをすれば良いのか」
「この選手の優れたところや課題は何か」
「どのレベルにまで成長できるか」
など、頭の中に鮮明にイメージが沸いてくる。
下手な練習をするよりも、脳が活性化されているので、筋肉レベルの活性も高まって素晴らしい効果を生むことも多い。
しかし、日ごろから「想像力」を働かせていない人は、
「この試合、面白かったね」
「あのショットはすごいね」
などの感想しか記憶されない。
当然、脳の活性レベルも低いので、「見る」効果が十分に発揮されることもない。
是非、豊かな「想像力」を身につけていただきたい。
そのための具体的な方法を示しておこう。
1.本を読む
本を読む習慣は、自分を現実とは違う世界にいざなうことができるという意味で大変効果がある。
文章や絵から自分なりのイメージを膨らませ、主人公と同じように、「嘆き」、「悲しみ」、「怒り」、「喜び」、「涙する」ことが大切である。
ここで、「本を見て泣くなんてバカじゃないの」と少し覚めた目でみるのはやめましょう。
感動している自分を素直に表現できない人は強くはなれませんよ。
これは、映画やドラマを見たときでも同じ。
大いに泣きまくりましょう!(ちょっと違うかも)
2.素振りをする
脳の中に鮮明なイメージが描けているときは、実際に筋肉の活性レベルも上がっている。
その時に実際に筋肉を動かしておくのは大変効果的だ。
ボクサーがたくさんの時間をかけてシャドーボクシングをするのはその効果を狙っている。
その時のボクサーの頭の中は、自分のパンチが相手を確実にヒットした場面が鮮明に描かれている。
テニスも同じである。
しかし、なかなかそれを行う機会は少ないだろう。
そんな時は、順番待ちで打っている選手の後ろにいるときに、小さくでも良いから実際にスイングしてみることである。
あなたが「想像力」豊かであれば効果はある。
3.記憶する
いい試合を見た後は、鮮明にイメージが浮かんでいるので、もちろん脳の活性レベルも高く、その機会を逃さず練習をすれば効果がある。
しかし、ちょっと時間が経つとイメージは薄れ、何が自分にとって良いと感じたことすら忘れてしまう。
実際には、このように「忘れては思い出す」を繰り返して、だんだんと「自分のもの」になっていくのであるが、もし「忘れる」ことが少なければもっと効果が上がるだろう。
本から鮮烈なヒントやイメージを受けたのであれば、その本を定期的に「みる」(読むというのではない)ことを薦める。
私もお気に入りの本を持ち歩きはしないが定期的に「みる」ようにしている。
そこには線が引いてあったり、いろいろなことを書き込んであるので、一目みただけで、その時の状況が浮かんできて、脳の中がリフレッシュされて、イメージがより強くわいてくる。
試合などの後にひらめきがあったのであれば、それをノートなどに書き残しておくと良いだろう。
文章の体裁などはどうでもよい。
感じるままの殴り書きの方が望ましいだろう。
きちんと整理しすぎると時間がかかり過ぎるという問題があり、パッとひらめいたのであれば、パッとその記憶を残すようにした方が良い。
何かうまくない時などがあったら、ときどきノートを開いて「みる」といいだろう。
その時に感じたひらめきやイメージがよみがえってきてあなたを救ってくれるかもしれない。
その時あなたは強くなる。
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2008年07月28日
「構える」ということ(1375)
東海中日ジュニアが終了し、もうすでに来年に向けての戦いが始まっています。
子どもたちが力をつけてきたことをうれしく思う反面、充分に力を発揮できなかった選手に対しては指導力のなさを痛感します。
そうした思いの中で感じるのは、やはり「戦う姿勢」の重要性です。
力の差がそれほど大きくなければ、勝敗は気持ちの強さ、相手と戦う気持ちの強い方が勝つ確率は高くなります。
そのことは理解していてもその気持ちを高める方法が実践できないことが気になります。
それは「構える」ということです。
このことについては、何度も指導してきたつもりですが、充分に実践できているとは言えないと思います。
今日の朝の練習でも「構え」について話をしました。
このコラムを読むように伝えたので、何人かの子どもたちは読んでくれることを期待します。
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「闘い」は、ボールを打球した瞬間から始まるのではなく「構え」から始まる。
「構え」が、相手にはっきりとわかるほど弱々しかったり、気迫が感じられなくて勝てるはずはない。
しかし、そのことを忘れて中途半端な「構え」を繰り返している選手は多い。
「目の表情」と同じように、「構え」から「こころの状態」を探ることができる。
「構え」で相手を威圧することもできる。
武道の世界では、「すきのない構え」ということがある。
武道の達人と対峙したときには「構え」にその強さを実感できる。
それに威圧された相手は「まいった!」となるわけだ。
テニスの場合でも、強い選手かそうでないかを見極めるとき、打っているボールやプレーの内容だけで判断するではない。
その選手の「歩き方」や「姿勢」、「立居振る舞い」などから強さが実感できる。
以前、「強い選手の行動や振る舞いを訓練することで、テニスの実力を引き上げることができる」と書いたが、「行動」を訓練することでテニスのレベルは格段に上がる。
「構え」はたんなる「姿勢」のコントロールではない。
自分の「こころの状態」をあらわすものである。
自分の気持ちを整理し、相手に立ち向かう気持ちや集中力を高め、「姿勢」と「表情」の良いしっかりとした「構え」を作る、このような一連の行動すべてが「構え」であることを覚えておいてほしい。
強い選手と同じような「構え」の「型」だけを真似ても、相手にはこころの状態が丸分かりになる。
自分の「こころの状態」を最適にすることがなによりも大切だ。
テニスの技術を高めることは大切である。
しかし、いくら高い技術を持っていてもそれが試合で発揮できないようでは強くはなれない。
強さを感じさせる「姿勢」や「行動」など、「気構え」も含め、相手と戦う時の自分の状態を高めることを日ごろからトレーニングしなくては強くはなれないことを良く覚えておいてほしい。
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強くなりたければ、「構え」を訓練しなければなりません。
この夏の大会で素晴らしい試合を見せてくれた選手がいます。
高い集中力と戦う気持ちを感じさせる素晴らしい「構え」で戦うことができていました。
「強くなったなあ」と実感できる瞬間でもあります。
繰り返し、繰り返し、何度でも指導していきます。
強くなるために・・・・・。
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2008年07月27日
純粋な戦い(1374)
明日から全国小学生大会が始まります。
私のクラブからは、勇太と大貴がチャレンジしますが、自分の力を十分に発揮して戦ってほしいですね。
この大会は私がもっとも好きな大会の一つです。
会場の落ち着いた雰囲気は心和む感じがします。
もちろん、子どもたちの純粋な戦いに感動します。
以前、この大会に関してこんなレポートを書いたことがあります。
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やっぱ、この大会はいいなあ!ここに来るといつもそう思う。
都会の中のオアシス的な雰囲気がある、石垣に囲まれたコートと古き日本の風情が残る会場は、熱き戦いを演出するのに十分であるだけではなく、森林浴で癒される自分もそこにいる。
そして、小学生にとって不純物(?)である中学生がいないことで生まれる親近感と同世代のライバルの誕生は、純粋に闘う場であることをより強く印象付ける。
コーチや親と一体になって、ともに戦うということを意識できる唯一の大会である。
いつでも「ここ」に来ることができるように、より良い環境を作る努力を続けなければならない、今は「純粋に」そう思っている。
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年齢が高くなってくると、純粋に戦うことができなくなってきます。
いろいろな思いや期待、進学、環境の変化などが子どもたちから純粋性を奪っていくのかもしれません。
それでも純粋に戦いを続けていく選手もいます。
そんな選手を見ていると、スポーツをすることの「美しさ」を感じます。
そう、この大会は「美しい」、そう思うのです。
そんな思いを持ちながら子どもたちの活躍を夢見たいと思います。
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2008年07月26日
「自立できない奴は強くなれない」の法則(1373)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -153-
テニスは「孤独」なスポーツであると書いた。
プロでもコーチをつけてツアーを回るケースはほとんどない。
お金がないからだ。
だから、何から何まで自分でやらなければならない。
大会の申し込み、宿泊の確保、交通手段の確認などの事前の準備はもちろん、練習コートの確保、練習パートナーやダブルスパートナーの確保は言うに及ばす、食事や体調の管理も自分の責任で行うのが当たり前である。
こうしたことは大変なことであると思うかもしれないが、私が指導してきたプロやトップ選手は「たいしたことない」と平然と言ってのける。
小さい頃から「自分でやる」という意識が強いからこそ、プロやトップ選手になったのであるから、その意識が強ければ何でも「自分でやる」というのが当たり前の感覚なのだろう。
だから、どんな時でもその時「自分が何をすべきか」を総じて分かってることが多い。
それができる選手を「自立」できていると評する。
橋本治(「橋本治の男になるのだ」ごま書房)は、
「『戦いに勝つ』は、『なれあいの群れから離れて、自分の信念に従って生きる-そのことを押し通せる』です。このことこそが『自立』で、『自立』とは『戦い』が成り立たなくなった現代に唯一残された『戦い』なんです。」
と言っている。
そう「自立」とは「戦い」なんです。
テニスとはもちろん相手と戦うスポーツであるが、それ以外にもいっぱい闘わなくてはならない「もの」がある、ということだ。
それが「自立」するということであり、それなくして「強くなる」ことはできない。
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2008年07月25日
大いなる可能性(1372)
今日からジュニア新人が始まりました。
この夏の初めての公式戦になる子も多いですね。
実はこの大会の12歳以下の試合を見るのがとても好きです。
カテゴリーが12歳以下なので、一番上は中学生の早生まれの選手が出場してきます。
一番年齢の下の選手は何歳かは分かりませんが、小学校の2年生ぐらいの選手は出場していると思います。
当然、体格差や体力差は大きなものがあります。
この年齢で1歳違いは大きなハンデとなります。
しかし、それをもろともせずに堂々と戦う選手がいます。
何本もエースを決められても執拗に食い下がり、粘って粘ってポイントを奪っていきます。
その選手の行動や振る舞いはトップ選手となんら変わることはないですね。
そういう選手を見るとき、「大いなる可能性」を感じてとても嬉しくなります。
ここでもやはり一番大切なのは、強くなりたいという「気持ちの強さ」と、それをちゃんと「行動で表現する」ことができるということです。
この大会はスタートの大会には違いありませんが、もうすでにそのステージを超えて「向こうにいる」と感じさせる選手がいます。
そういう選手が強くなっていきます。
私がこの大会のこのカテゴリーの試合を見るのが好きなのは、そういう選手としての資質をはっきりと確認できるからかもしれません。
そして、私が指導するクラブの選手にはそういう資質を身につけて強くなってほしいと思います。
明日も暑い日差しの中、熱い戦いが繰り広げられます。
もうすでにこれ以上焼けないだろうというほどに日焼けしていますが、さらに黒さを増すまで応援しようと思います。
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2008年07月24日
勝つために何をするのか(1371)
今日で全日本ジュニアに向けての戦いが終わりました。
今年も10人ほどの子どもたちが全国大会の切符を手に入れて、さらにモチベーションを高めて練習に取り組んでくれることを期待します。
もちろん、この大会で悔しい思いをした子どもたちも多いですね。
それをうまく「エネルギー」に変えて強くなってくれれば良いのですが、少し気になることもあります。
まずはこの舞台に立てただけで満足しているような言動や、あこがれの選手のプレーを見て感激している姿が多いということです。
この舞台に立てば、すべては自分のライバルです。
もし、自分がウィンブルドンに出場できたとして、あこがれの選手のサインを求めにいくでしょうか。
相手を戦う相手だとちゃんと認識すればそのように行動することはないはずです。
「憧憬」は戦う意識を低下させることもあります。
どんな相手であっても、勝つために最善を尽くすことができるようにきちんと準備しなくてはなりません。
また今までの成績がどんなに違っていても、戦いの場になれば「対等の意識」が必要です。
成績を比べて、その時点で勝つ見込みがないと考えてしまうことほど愚かなことはありません。
もちろん苦しい戦いになることは覚悟の上です。
その上で、「勝つために何をするのか」を全力で考えて行動できる選手が強くなっていきます。
上から相手を見て気を抜いたり、下から見て怖気づいたりせず、「対等意識」を持って試合に臨むことが大切です。
そして何よりも気になるのは「逃避行動」が多いということです。
ミスをして過度にリアクションが大きくなったり、ひどく落ち込んだり、うなだれたりするのは、恐怖する心を浄化するためのひとつの「逃避行動」です。
負けてしまう自分、望む結果が得られない恐怖、今までの努力が無駄になっていくような不安、誰でも「それ」と戦っています。
しかし、試合が始まってもなお、そのことを過度に意識し、恐れ、逃げ出したくなるような衝動を抑えることができません。
そんな時、人はそういう自分をアピールして、無意識に助けを求めてしまうのです。
それが望ましくない「身体表現」に結び付いていきます。
強くなるためには、まずはこれを「絶対にしない」ように心がけることから始めましょう。
怖くても、苦しくても、そこから逃げずにまっすぐに向かっていく気持ちを強く持てば、自ずと「逃避行動」はなくなっていきます。
自分の中に「強さ」を感じることが多くなってきます。
それを続けることで「本物の強さ」を身につけます。
この夏の合宿やキャンプでは、そのことをもう一度確認して、「強さ」を身につけてもらいたいと思います。
今年のトレーニングキャンプのテーマは「メンタル・パフォーマンスの向上」です。
強くなるための「ものの考え方」を整理し、「精神的な競技能力の向上」を図りたいと思います。
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2008年07月23日
「忍耐力のない奴は強くなれない」の法則(1370)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -152-
もっとも大切な法則、それは、「忍耐力のない奴は強くなれない」である。
テニスというスポーツは、プロスポーツとしては大変市場の狭いスポーツである。
ゴルフであれば、日本ツアー、アメリカツアー、ヨーロッパツアーなど、あるまとまったエリアでプロスポーツとして成り立っていて、多くのプロがそれで「食って」いる。
野球にしてもしかりである。
しかし、テニスは「ワールドツアー」しか存在しない。
そして、そのツアーでトップ100しか「食えない」という狭き市場なのである。
当然、そこに行き着き、生活をプロとして支えるためには、とてつもなく厳しい戦いを勝ち抜いていかなくてはならない。
当然、行き着くまでの間は食うことはむつかしい。
それでもそこに挑むには、並大抵の「忍耐力」では耐えられないことは想像に難くない。
また、テニスは一人で戦わなくてはならない。
ゴルフではキャディーというサポーターが近くにいるし、試合の最中にも声を掛けることができる。
野球やサッカーのような団体スポーツでは仲間とともに戦うので孤独感はないだろう。
試合に入ったらまったくの一人きり(団体戦を除いて)、何のアドバイスも、協力も求めることができないもっとも孤独なスポーツなのである。
だから、歌でも
♪コートではひとり、ひとりきり
という歌がじ~んとこころに沁みて泣けてくるのである(えっ、私だけ?)。
それくらい孤独なスポーツなので、それに耐えられない選手はそもそもテニスには向かない。
これは相当に大変なことだ。
まだまだあるぞ。
テニスはもっとも「しんどい」スポーツだということだ。
試合時間は、長いときでは3時間や4時間以上にもなる。
大きな大会になれば、2週間も試合をし続けることになる。
1週間は当たり前である。
しかも、その大会に向けて調整という意味で、少なくとも3、4日は試合会場で練習することになるし、今やっている大会と次に出場する大会でサーフェイスが違えば、調整期間はもっと長くなる。
野球やサッカーではサーフェイスが問題になることはほとんどないだろう。
気候の違いや時差などによる調整が必要ということはあるが、それとてテニスでも同様であるので、テニスは2重3重に苦しい思いをしなくてはならないということだ。
「もう、やめだ!」と思いたくなる気持ちはよくわかる。
これはもちろんプロ、もしくはプロを目指している人のことであるが、ジュニアの選手でも同じような「忍耐力」が求められるのがテニスの世界である。
テニスではプロのツアーの仕組みもジュニアのツアーの仕組みもそれほど変わるわけではない。
ポイントを稼いでランキングをあげるために世界中の大会に参加し、グランドスラムを目指す。
プロとなんら変わることはない。
ということは、ジュニアのときからもの凄い「プロ意識」がなくては戦ってはいけない舞台なのである。
しかし!日本ではちょっと事情が違い、特殊なルールに則って試合が行われることが多い。
練習無し、ワンセットマッチ(私はノーアドバンテージの4ゲーム先取の試合を知っている)、休業中の過密日程などなど。世界から見れば異様な世界がそこには広がっている。
かくいう私も海外に出る前までは、「この世界」が当たり前であると思っていた。
そこでは本物の「世界」で戦う凄まじいまでの「忍耐力」を必要としない。
だからこそ「忍耐力」のある選手は素晴らしい成績を修めるチャンスが大きい。
まだあるぞ。
テニスでは多くの場合「セルフジャッジ」である。
もめごとがないわけがない。
しかし、ルール上も、倫理上もネットを飛び越えて相手に殴りかかる、というわけにはいかない。
ひたすら「そのこと」を耐え忍ばなければならないのだ。
そんなときに人間としての「耐性」が試される。
現状が自分に不利に働いて、それをどうすることもできないとき人間が絶望する。
そんな機会がもっとも多いのがテニスというスポーツなのである。
いかに「忍耐力」が必要なのかは理解できるだろう。
これだけでは終わらない。
実はテニスは大変お金がかかる。
レッスン費、クラブに練習に通うための交通費、ガットはぶちぶち切れる。
強くなればなったで、遠征にかかる費用はばかにならない。
ツアーに出なければポイントを稼ぐことができないので、国内だけでの遠征では済まなくなる。
当然何万円ものお金がかかるのだ。
それを支えているのはもちろんほとんどの場合「親」だ。
お金を出すスポンサーだと考えても良い。
スポンサーであればいろいろなことに口出しをする。
その最たるものは「強くなれないんだったら、お金はださない。」という「脅し」である。
これは結構強力である。
プロであったら、それを否定することはできず、ひたすらお願いしてお金を出してもらうか、他のスポンサーを探すことになる。
それが「強くなる」ためのモチベーションにもなっている。
しかし、実際に親となると「うっとうしい」存在であると考えてしまうのが普通である。
いろいろといわれると「感情的」になるのが当たり前なのだ。
この感情的になった自分をコントロールするのは大変な「忍耐力」が必要とされる。
私に言わせれば、これは「訓練」としては良い機会だと思うのであるが、小さい頃から送り迎えが当たり前で、言うがままにお金を出してもらうのが当たり前で育ってきて、その成果が思うように出ないときにはお互いが「感情的」になることは避けられない。
ここに本当に必要な「忍耐力」の訓練の場があるのであるが、それに耐えられない子は(もちろん親も)大変多い。
テニスとはこんなスポーツである。
あらゆるスポーツの中でもっとも「忍耐力」が必要なスポーツのひとつであることは分かってもらえただろうか。
だからこそはじめに大きな声で叫んでおきたいのである、「忍耐力ない奴は強くなれない!」・・・と。
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2008年07月22日
強さはどこから生まれてくるのか(1369)
昨年から本格的に「寮」の生活がスタートしました。
管理する方は大変ですが、そこで生活する子ども達もそれなりに大変だと思います。
私が寮を作り、そこで生活しながらテニスをすることを薦めるのは、いろいろな理由がありますが、何よりも「強くなるために」は絶対に必要だと強く思うからです。
確かに寮の生活は今の子ども達にとっては息苦しいかもしれません。
親の庇護の元でわがままに育ってきた子どもが、他人との共同生活を行うことはむつかしいことだと思います。
当然、寮の生活では制限は多くなります。
私のところの寮では、基本的に携帯は禁止、時間厳守、整理整頓、ごみの管理などをきちんと指導しています。
徹底できているとは言えないところもあるが、子ども達は怒られながらそれなりに生活できているように思います。
週末だけのことであればそれなりに我慢できるかもしれませんが、寮生はそれが「日常」になります。
ここが苦しいところです。
トレーニングでも、1日2日だけがんばれば良いと思うのであればなんとかがんばれるかもしれませんが、それが毎日続くとなると気が滅入ります。
苦しいと思う気持ちが強くなって、続かなくなる、それが人間であり、弱いところです。
しかし、それを乗り越えてなお「テニスが強くなりたい」という強い意志に支えられて行動できるものだけが強くなる、これがスポーツの本質です。
だから寮生活を選びました。
苦しいからです。
嫌なことはいっぱいあります。
掃除も面倒くさい、自炊も面倒くさい、好きなテレビも見られない、人間関係がうまくいかない、勉強に集中できない、ゆっくり寝られない、そんなことが当たり前の生活です。
それを乗り越えてくる「力」を持っているもの、その選手は間違いなく強くなる、それを信じて疑いません。
私が愛工大名電高校野球部のコーチとなり、強くなるチームの過程を見てきて、一番感じたことが「それ」でした。
野球部は全寮制です。
しかも、全員が同じ大部屋に寝泊りし、寮の管理も基本的には子ども達が分担して行います。
ハードな練習をして疲れていても、生活をするためにはそこを避けては通れません。
そんな生活の中で、朝早くから起きて素振りをする、就寝時間ぎりぎりまでトレーニングする、ちゃんと勉強する、そんなことが当たり前になってきています。
野球をすることが「生活」になっている強さを感じます。
私の大学時代の友人達にも、汚くて狭い寮(人間が住むことができるぎりぎりだと感じていた)でこき使わされながら、貧しい食事を我慢し、スポーツでも勉強でも立派な成績を修めた奴がいます。
これが「強さ」だ、と思います。
「人間の『強さ』はどこから生まれてくるのだろう」、と考えることがあります。
それは「苦しさ」の中から生まれると思うのです。
どうしようもないほど悩み、苦しみ、逃げ出したくなる瞬間に「強さ」の原点があります。
私がアメリカに渡った時も大変苦しかった。
英語はうまくしゃべれない、知った人はいない、寮の生活に馴染めず、生活のリズムはうまく作れない、部屋に閉じこもっていることが多かったですね。
そして、「元大学教員である」という変なプライドが、一歩踏み出すことを拒んでいたように思います。
そんな中から、「どうしてもここで自分の仕事見つける」という強い意志が芽生えたました。
そこから一歩踏み出すことができました。
一歩踏み出す「勇気」と「強さ」を自分の中に感じたとき、「これでこの世界でやっていける」という「自信」もつきました。
自分が強くなった瞬間だと思う。
それ以降、あまり怖いもの、嫌なものはなくなりました。
それはすべて自分にとって必要なことだと思えるようにもなりました。
「強さ」はこうして生まれてくるものだと思う。
子ども達も親も、不安や恐れがあるだろうと思いますが、強くなる」ためにはとても良い経験になる、それを信じてがんばってほしい。
心からそう思います。
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2008年07月21日
ブレークスルーが起こる条件(1368)
「ブレークスルー」は誰にも起きる可能性はありますが、それには「条件」があります。
①テニスにかける力がどれだけあるか
②恐怖を断ち切る
③開き直る
ということです。
人間が大きく変わるためには、大病をすることなどの大きなショックが必要で、そういう挫折から立ち上がってきた時に強さを身につけています。
負けて悔しくない選手は強くなりません。
悔しさを心に刻んで、それを乗り越える強さを身につけなければなりません。
試合で負けることは怖いものです。
だから試合を嫌がる選手は多いものですが、それでは壁を乗り越えることはできないし、ブレークスルーは起こりません。
「何が何でも」という「強い意志」が試されるのです。
このような恐怖心は試合にはマイナスになるのではないのかと思うかもしれません。
恐怖でびくびくしていたら気持ちが弱くなってしまうと考えるからです。
しかし、怖い時はその恐怖心を振り払おうと一生懸命に行動しようとします。
恐怖心が行動力に変わるときに、その怖さが大きくプラスに働くのです。
そういう行動力が高まり、より強い気持ちになった時、人間は思いもよらない力を発揮します。
だから「恐怖する気持ち」は大切なのです。
それを振り払う強い気持ちや行動力を身につける原動力になるからです。
だから、試合に負けた後はその悔しい気持ちを心に刻み、「今度は勝つ!」と強く思って、すぐに行動しなければならないと思います。
残念ながら前の試合の結果を引きずってしまうことも多いですが、壁を越えるために、試合を嫌がらずに積極的に行動することが大切です。
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2008年07月20日
次の攻撃に移る意識を高く持て!(1367)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -151-
スマッシュは一発で決まれば問題ないのだが、それがリターンされたときに体勢が大きく崩れていると簡単に追い込まれてしまう。
サービスでもリターンに対して素早く構えることは重要であるが、スマッシュほど打った後に体勢は崩れにくいし、ベースラインに位置しているので比較的対応しやすい。
体勢が崩れないようにバランス良くスイングするコツは解説してきたが、何よりも次の攻撃に対しての「気構え」が大切である。
スマッシュに自信がない人は、スマッシュがちゃんと打てるかどうか、コートに入るかどうかに強く意識を向けてしまう。
運良くきちんと打てると安心して「次へ」の意識を高く持つことができない。これでは攻撃を連続することができない。
スマッシュは一発で決めるための最大の武器であるが、「次の攻撃への意識」というバックアップがあればさらに強力な武器になることを忘れないでほしいと思う。
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2008年07月19日
ジャンピングスマッシュを練習しろ!(1366)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -150-
スマッシュの基本は、後ろに下がって前に踏み込みながら打つことではない。
こんなボールよりも後ろに下がって打つケースの方が多いはずだ。
後ろに下がって打つことができなければ、スマッシュを打てる範囲は狭く、前にいてもその攻撃で相手にプレッシャーを与えることはできない。
だから後ろに下がりながらジャンプして打つスマッシュをたくさん練習しなければならないのだ。
もちろん、初心者の方が頭の上でボールを打つための距離感を練習するにはそれでも構わないが、強くなるためにはジャンピングスマッシュの練習は避けては通れない。
段階的に練習していこう。
まずは、右足でためを作ることが大切だ。
後方にジャンプするには後方に下がったときに体を止め、その力を利用して上にジャンプするためにきちんと足をセットしよう。
ジャンプ動作がきちんとできれば、背筋があまり緩まないので軸が安定し、バランスの良いスイングができる。
次に大切なことは、ジャンプの力を体の回転にうまく使うことだ。
そのためには、着地の足を鋭く「引く」ことが大切である。
これは静止した状態から引き足を使うと鋭く前にダッシュできるのと同じことだ。
この「引き足」と着地動作がうまくできれば、体はスムースに回転し、次の動作が速くなる。
重心が後方に大きく傾くのを防いで、次の動きがスムースになる。
「股関節」をうまく使うことも大切なポイントだ。
両手を頭の後ろに組んで両足を限界まで広げ、その姿勢からできるだけ上にジャンプしないように両足の位置を入れ替えるトレーニングがある。
私のクラブのプレーヤーズコースでは定期的に行わせているトレーニングであるが、これがスムースにできないと、ジャンプした足と、着地する足の切り替えがうまくできないのでスムースに体を回転させることは難しい。
何となく回転動作がギクシャクしていると感じたら、少しこのトレーニングを導入してみよう。
「ジャンプバックトレーニング」で確認する、というのも面白い。
これはネットからベースラインまで下がりながらスマッシュ動作を繰り返すというトレーニングである。
ただし、ステップは右足を準備するのに1回、着地に1回しか使えない。
何度も小刻みにステップをして動作を繰り返してはいけない。
スイングのバランスが良くないと、1回1回の動作がふらふらして、まっすぐに後ろに下がっていくことができない。
実際のスマッシュ動作でもきちんとスイングできるはずはない。
これらのトレーニングは、筋力アップを狙いとするトレーニングではないので、ちょっとしたきっかけでびっくりするくらいスムースに回転動作が行えるようになり、鋭いスマッシュが打てるはずだ。
もちろん「軸」をしっかりと作ることも大切なことだ。
そのためには「背筋を使って打つ」ように意識することが重要であることは何度も言ってきた。
腕を振ろう振ろうと意識しすぎると、腕、特に上腕が早く下にさがってしまい、上体も前に折り曲がるような姿勢になるので、バランスも崩れ、鋭く腕を振ることができない。
ジャンプ動作の最中も、着地してからも、背筋が緩まないように(もちろん腹筋も)意識して打ち込んでほしい。
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2008年07月18日
合宿(1365)
明日から東海中日ジュニアに向けての選抜合宿が始ります。
もう何回目の合宿なのかははっきりとは覚えていませんが、いつも思い出すのは始めたばかりの頃の合宿です。
一番初めの合宿はひるがの高原でした。
まだ全日本ジュニアに出場する選手もいないので(本当は一人いましたがすっかり忘れていました。ごめんなさい!)、日程的には余裕を持って決めることができました。
花火をしたり、ゲームをしたり、まだまだお遊び感覚の合宿だったように思います。
次の合宿からは浜名湖がメインになりました。
鳥取のチームも参加してくれるようになり、お互いに刺激を受けながら成長したように思います。
この間のウィンブルドンには、この鳥取のチームの石光コーチと一緒でしたが、いろいろと話をしていて、この頃のエネルギーがあったからこそ今のチームがあるという事で意見は一致しました。
そうなんですね、やはり外に出るエネルギー、ともに生活するエネルギー、一日中テニスを頑張るエネルギー、そんなものが強くなるためには必要だと思います。
今回の合宿では子どもたちはどんなエネルギーを出してくれるのでしょうか。
そして、その中から何を感じるのでしょうか。
それを楽しみに3日間を頑張りたいと思います。
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2008年07月17日
アルコール(1364)
実は私はアルコールがまったく飲めません。
身体も大きく、色も黒く、年中外で仕事をしているのでいかにも飲めそうですが、一滴もだめです。
若い時はそれで大変苦労しました。
飲める人にはわからないかもしれませんが、飲めない人が飲むとひどい二日酔いが早く来るようなもので、気持ちは悪いわ、頭は痛いわで大変です。
しかし、一番納得いかないのは、飲める人がさんざん飲んで食べた揚句に、「割り勘ね」と言われる時です。
どう考えても飲める人の方が得をするシステムです。
「じゃあ、その分食べればいいじゃん」と言われますが、一応付き合いでちょっとだけ飲んだだけでも食欲は低下しますのでそれほどたくさん食べれません。
飲める人は、飲みながらも実においしそうにたくさん食べます。
それで割り勘はないですよね。
まあ、若い時の飲み会はその分大騒ぎできるので、気分転換やストレス発散にもなって、それなりに楽しいものでした。
社会人になってからも飲めないことで損をすることは多いように思います。
まずはうまく人と付き合うことができません。
「ちょっと飲みに行くか?」という、テレビドラマでもおなじみのシーンがあってもついつい遠慮してしまいます。
付き合いの悪い奴だと思われていたかもしれませんね。
遠征などでも夜に飲みに出かけることはほとんどありません。
飲める人と出かけると、食事の時間が大変長く、気の合う人とであれば全く苦になりませんが、そうでない人と長い時間一緒に食事をするのはあまり気が進みません。
なので、もっぱらホテルで本を読むことが多かったですね。
今もお酒が飲めないことで損をしているなあ、と思うことは多いですが、寮の管理をするようになってからは、お酒が飲めなくて本当に良かったと思っています。
ひとつは、レッスンが終わって家に帰って食事をしますが、お酒を飲む人であればここで一杯となりますので、それから車で出かけることはできません。
私は全く問題ないですね。
食事の時間も大変短いので、寮を空ける時間も少なくてすみます(子どもたちにとっては迷惑な話かもしれませんが・・・)。
それと、酔っ払っている姿を子どもたちに見られることがないというのもいいですね。
子どもたちの生活を管理する上で大切なことは、子どもたちから指摘されるような生活上のすきをできるだけ見せないことです。
子どもたちを注意をしたり、叱ったりした時に自分に非があってはその効果は期待できません。
もし自分が酔っ払って何かトラブルを起こしてしまえば、子どもたちとの信頼関係も薄くなってしまいます。
お酒を飲まないことでそのリスクは少なくなります。
そういう意味で、今はお酒が飲めなくて良かったと思っています。
「お酒が飲めないと人生の半分は損をする」とよく言われますが、お酒が飲めないことで得をすることもたくさんあると思っています。
でも、私の夢は一度でいいから「酔っ払ってみたい」ということです。
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2008年07月16日
自立のすすめ(1363)
最近の子ども達の動向について警鐘を鳴らす本がたくさん出版されています。
私もいくつか読んでみましたが、読めば読むほど子ども達を取り巻く環境は確実に悪くなっていると感じますね。
その中でも特に気になることのひとつは「つながっていないと不安症候群」です。
「ケータイ依存症」とも呼ばれるもので、「常に身につけていないと不安な気持ちになる」、「常につながっていないと気が安まらない」という感覚が強い人のことを言います。
そういう子ども達は大変多いですね。
私がそういう子ども達を見るときに思うのは、「スポーツでは『自立』がもっとも大切なことである」という持論です。
橋本治(「橋本治の男になるのだ」ごま書房)は、
「『戦いに勝つ』は、『なれあいの群れから離れて、自分の信念に従って生きる-そのことを押し通せる』です。このことこそが『自立』で、『自立』とは『戦い』が成り立たなくなった現代に唯一残された『戦い』なんです。」
と言っています。
ケータイに「依存」してしまう子ども達は、そもそも「自立」できていません。
そういう子ども達は「自分でやるべきこと」をちゃんとやれないケースが目立ちます。
それで強くなれるほどスポーツの世界は甘くはありません。
しかも、やっかいなことにこういう子ども達は「関係できない症候群」でもあります。
正高信男(「ケータイを持ったサル」中公新書)は、ケータイによるコミュニケーションの限界について明確に述べています。
「相手とどのようにして信頼関係を結んだらよいのか」ということがよくわからなくなっていると言うのです。
ほんの些細なことで友好関係が崩れることを何度も見てきました。
「つながっていたいのに、その関係が稀薄である」証かもしれません。
そして、このような子ども達は他人の「思い」、「痛み」に対して鈍感である傾向が強いとも言われます。
自己中心性がはっきりとでてしまうのだと思います。
このような問題は私のような子どもの指導者にとっては他人事ではありません。
私はスポーツに最も大切なことは「自立」であり、「自立」するために必要なことは「忍耐力」と「想像力・創造力」だと考えています。
その「力」をつけて「自立」した者だけが強くなるのが真実であり、「力」をつけさせるためにいろいろなことを工夫し、指導していかなくてはならないと強く思っています。
私のクラブでは、寮を含めてクラブ内での携帯電話の「使用」を禁止しました。
練習の終了時間が不規則なので、その連絡のために携帯電話を「利用」するのは認めますが、それ以外での「使用」は一切認めていません。
ここは「戦いの場」、「戦うための訓練の場」であるという意識を強く持ってもらいたいと考えるからです。
子ども達には強くなってほしい、心からそう思います。
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2008年07月15日
振り切るな!(1362)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -149-
スマッシュの練習では、強いボールを打つために「もっとラケットを振り切れ!」とか「ヘッドを利かせろ!」なんていうアドバイスを良く耳にする。
たしかに鋭いボールを打つためには大変重要なことだ。
しかし、よくよく聞いてみると、「振り切るにはフォロースルーを長く大きくするんだ!」なんていうちょっとおかしなアドバイスもあったりする。
スマッシュのときに必要なのは鋭く振り切ることであって、大きく振ることではない。
大きく振ろうと意識することで体勢が崩れたり、次の動作に対する対応が遅れたりすることも多い。
ではどうすれば良いのかというと、すばり「振り切るな!」ということである。
鋭く振り切れといっているのに、「振り切るな」とは矛盾しているように思うかもしれない。
正確に言えば、「上腕を振り切るな」ということであり、そう意識することでラケットを鋭く振りきれるようになるということである。
サービスの解説のときに、「体を止める」ことの大切さを解説した。
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正面を向いて、腕の力を使ってラケットを振ろうとすると前かがみになって腰が引けたようなフォームになる。
テニスではよく「軸」という言葉が使われる。
とても大切な考え方であるが、「軸」は身体の程良い緊張を「意識的」に作り出すことであり、胴体の動きを過剰に使って腕を振っていて「軸」が作れるはずはない。
それを矯正するために、インパクトで「体を止めるように意識」してラケット振ってみよう。
以前に「姿勢が前かがみになっていたりすると、うまく背中の筋肉を使うことができず、鋭くスイングできない」と書いたが、逆に背中の筋肉を適度に緊張させれば前かがみの姿勢にはなりにくく、腕を鋭く振り抜くことができるということを示している。
「体を止めるように意識」してラケットを振れば、正しい姿勢で鋭く腕を振ることができる。
間違いなくあなたのスイングスピードは上がる。
もちろん、「軸」を作ることにも役立つはずだ。
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とうことである。
もちろん、スマッシュにおいても体を止める感覚、背筋を使って打つ感覚は大変大切であるが、スマッシュは次の動きを素早くしなければならないことに加えて、難しい体勢でラケットを振り切らなければならないことがあるので、サービスよりもよりもコンパクトに振り切って、バランスを崩さないようにしなければならない。
そのためにサービスよりも身体の動きを小さくしながらラケットを加速するために「上腕を止めること」を強く意識しなければならないのである。
そのように意識してスイングすると、上腕が肩のあたりの高さにあって前腕とラケットが前方に残っているような姿勢でフィニッシュする。
そんな写真を見たこともあるだろう。
ここがサービスとスマッシュの大きな違いでもある。
「上腕を振り切らずに止めるように意識して、前腕とラケットを鋭く振り切る」、これがバランスを崩さずに鋭いスマッシュを打つ秘訣である。
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2008年07月14日
言葉の力(1361)
キムタクが出演している某テレビ番組で、彼の秘書役を務める深津絵里が、
「あの人の言葉には力があるんです。同じことを言われても、あの人に言われると、こう胸にすうっと入ってくるんです。」
と言っていました。
そういうことはよくありますね。
この表現のようにまさに胸にすうっと入ってくるというような感じです。
この場合は、言葉そのものに力があるというよりも、その言葉を発する人間に力があるということかもしれません。
もちろん、発する言葉の内容に深みがあるということもありますが、話す時のトーンや表情、声の質などが優れて人の心に響くということでしょうか。
こうした力をボイストレーニングなどである程度は訓練することはできますが、何よりも話す人の思いやりとか優しさのような「人間力」が大切です。
こういう人と話をしていると何となく引き込まれ、話をし終わった後に清々しいような気持ちになります。
私も人と接する仕事していますので、「言葉の力」は大変大切にしています。
なかなか相手の胸にすうっと入っていくように言葉を発することは難しいですね。
でも、少なくとも「人間力」を磨く努力は続けていこうと思います。
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2008年07月13日
素早く構えろ!(1360)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -148-
スイングの形はサービスと似ているが、スマッシュは相手がボールを打つので、そのボールに対応しなければならない。
だから「素早く構える」ことが大切だ。
「素早く構える」ためにはフットワークの問題とか意識の問題とかいろいろあるので、どれがもっとも大切なのかと言うことはできない。
ここではテイクバックについて考えてみよう。
サービスのときに「フロントバック」式のテイクバックを紹介した。
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スムースなスイング動作を行うにはテイクバックの構えが大変大切である。
これを実行するために昔教えられた両手を「バンザイ」するようなテイクバックではうまくいかないことが多い。
特に肩の弱い女性やジュニア選手ではこのようにテイクバックすると上腕がうまく引きあがらず、正しい形に準備することができない。
そんな時、両手を顔の前から引いてくる「フロントバック」という方法を試してほしい。
これは両手を顔の前に持ってきて、そのまま肘を肩の後ろに引くようにテイクバックする方法だ。
このようにすると肩の筋力の弱い女性やジュニア選手でも楽に正しい形にテイクバックすることができる。』
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ということである。
サービスよりも「対応の素早さ」を必要とするスマッシュではこの方法以外でうまくいくことはむつかしい。
是非身につけてもらいたい。
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2008年07月12日
なぜ自信を失くすのか(1359)
メンタル的な能力は、テストなどを用いてある程度は把握することができるということを書きました。
それらの項目の中では「自信がない」こと、「精神の安定」と「集中力」が低いという特徴が現れる場合が多いものです。
今回は「なぜ自信を失くすのか」ということについて考えてみましょう。
もちろん、いろいろな原因が考えられますが、一番大きな原因は「挫折感」が続くということです。
一度や二度の失敗では大きくは揺らがない「自信」も、それが続くと揺らぎが大きくなり、ついには「失くしてしまう」ことになります。
何を「失敗」というふうに捉えるのか、ということは人によって違いますが、目標とする結果が得られないとか、他人と比較して成果が思うように上がらない、などのことを「失敗」と捉えることが多いものです。
そうして「挫折感」が大きくなってくると、何もする気が起きません。
この段階では、まだ「やる気」はそれなりにあるので、一生懸命に練習に打ち込んだり、目標を立てて頑張ったりします。
しかし、それでもなかなか思うように成果が出ないとだんだんと「行動」しなくなります。
極端な場合は、生存の行動以外は何もしなくなります。
このような状態から抜け出すのはなかなか難しいものです。
できるだけそういう状態にまで落ち込まないように、早いうちに対処することが望まれます。
一番の対処法は、「小さな成功体験」を積み重ねることです。
禁煙するとか、1ヶ月間は毎日少しは走るとか、一日に20回は腹筋をするとか、どんなことでも良いのです。
もちろん、一回で終わるようなことはあまり望ましくありませんが、「努力をすれば必ず達成できる目標」を設定して、それを成功に導くことを何度か経験することです。
小さく思える目標でもそれを続けることは難しいものです。
自分で期間や目標を決めて、とにかく実行することです。
そうした「成功体験」を何度か経験すると、今まで不可能だとか、無理だと思えたような目標や課題に対しても意欲がわいてきます。
そのような気持ちで何かに取り組んでいる時に、何かしらの大きな「成功体験」があれば自信も大きくなり、「ブレークスルー」も起こるかもしれません。
大切なことは、「何か」をすると「決める」ことです。
とにかく「行動」することです。
「自信がない」とは「行動力がない」と同義です。
「自信を失くさないように行動し続けること」、このことを忘れないようにしてほしいと思います。
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2008年07月11日
ヒッティングゾーンをつかめ!(1358)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -147-
ある程度の打ち分けができるようになったら、正確にヒットできるように訓練をしよう。
正確にヒットするためには自分がもっとも楽に強く打つことができる「ヒッティングゾーン」をつかむことが大切だ。
よくスマッシュの練習では「指の先にボールを見て」とか「ボールを指差して」などと指導されることがある。
どちらも正確にヒットすることができるようにするアドバイスであるが、効果はあまりない。
実際にスマッシュの映像を確認すると、指先にボールがないことが多い。
ボールを打つポイントを見ると、身体の軸の延長線上(中心軸のほうがわかりやすいかな)からあまり大きくずれてはいない。
ということは、ボールは頭の上あたりで打つことになるのだが、そこを指差そうと思うと手をまっすぐに上に伸ばさなければならない。
そんな風に腕を上げるのは窮屈だろう。
そして、腕をそのように窮屈に上に伸ばすと反対側の腕、つまりラケットを持っている側の腕もスムースにスイングすることはできない。
あまりうまい方法とはいえない。
では、どこでボールを打っているのかというと、上げた腕と身体の軸線で作るエリアの中だ。
あなたがもっとも楽に強くボールをヒットできるポイントは必ずそのエリアの中にある。
これを「ヒッティングゾーン」と呼んでいる。
もし肩の筋力などが弱くて腕を十分に高く引き上げることができなくても、このゾーンで打つことができれば強いボールが打てる。
また、頭の後方に上がったボールに対しても身体を少し反らして軸線を後方にずらしてきちんとゾーンの中で打つことができればフェデラーのスマッシュも夢ではない。
常にゾーンで打つことを心がければ、その中でも自分がもっとも強く正確にヒットできる「ポイント」が見つかるはずだ。
そうすればいつでもスマッシュを「武器」にできる。
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2008年07月10日
お別れ会(1357)
昨日は「お別れ会」でした。
何の「お別れ会」なのかというと、私が指導している一般レッスンのクラスの方々との「お別れ会」です。
もう10年以上続いてきたクラスなのでやはり寂しいですね。
一般レッスンと言っても、私が指導できる時にだけレッスンが行われるというちょっと変わった形態のクラスなので、遠征などで1年のうち半分くらいしか開講されないのによく続いてきたと思います。
レッスンの内容も、おしゃべり半分テニス半分というような感じで大変楽しく教えることができました。
ジュニアの指導とは違う意味でテ「ニスを教える楽しさ」を感じることができたレッスンです。
本音を言えばやめたくはないのですが、後期から大学での講義が増えることからやむなくやめることとなりました。
またいつか復活したいですね。
「お別れ会」の時に話をしたように、私のアドバイスを忘れないようにこれからもテニスを楽しんでください。
レッスン生の皆さん、本当にありがとうございました。
そして、またいつの日か一緒にテニスを楽しみましょう!
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2008年07月09日
スマッシュはワイドに打て!(1356)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -146-
そのためには「ワイドへ打つ」ことを練習しよう。
もちろん角度をつけることが必要なので「回転」を意識した方が良いだろう。
サービスでスピンサービスやスライスサービスをある程度打つことができるのであれば、基本的な要領は同じである。
ただスマッシュでは練習しないだけだ。
センターライン上に立って、スライスで左サイドへ、スピン回転で右サイドに(※右利きの場合)打つ練習をしよう。
決してフラットの強いボールを打つことだけに意識を向けてはいけない。
意識するのは「回転」と「コース」である。
その打ち分けがうまくできるようになれば、フラット系のスマッシュを打ち込むことなど簡単にできるようになる。
信じて練習してほしい。
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2008年07月08日
スマッシュの方が簡単!(1355)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -145-
サービスとスマッシュではどちらが難しいだろうか。
スマッシュと答える人のほうが多いだろう。
しかし、実際のミスショットはスマッシュの方が圧倒的に少ない。
まあ、スマッシュの場合は相手がボールをあげるので、どこに来るのか分からないボールに対して対応する技術が必要であるのに対して、サービスは自分でトスをあげるので一概に比較することはできないが、スマッシュの方がミスは少ないのは事実だ。
ミスショットと言っても、ここではコートに入るかどうかだけを比較している。
なんせサービスは、コート全体の4分の1弱のエリアにしか入れることが許されないのであるから、ミスが多くなるのは当たり前といえば当たり前の話である。
このミスを空振りのミスに限定すれば、スマッシュの方が多いに決まっている。
サービスで空振りする人が、スマッシュを確実にヒットできるとは到底思えない。
ここで私が言いたいのは「スマッシュは入れるべきエリアが広い」ということだ。
それを活かしていないケースが多い。
そして、そのことを意識して練習しているのといないのでは、その後のスマッシュの技術の習得に大きな差が出てくる。まずはそのことを頭にしっかりと入れよう。
「スマッシュは打つエリアが広い」、これがとても大切な考え方である。
スマッシュ=強いボールでエースをとる、と思い込みすぎていると、こういう発想は出てこない。
確かに威力あるスマッシュを豪快に決めるのはかっこいい。
でもその確率が5本に1本ではわざわざ相手にポイントをやるためにスマッシュを打つようなものだ。
強くなるためには、確実にポイントのとれる方法を選択しなければならない。
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2008年07月07日
「心」を鍛える(1354)
鳥取県高体連の講習会の指導に行ってきました。
高体連の講習は今年で2回目ですが、ジュニアの指導にも行きましたのでトータルで3回目の鳥取になります。
今回の講習会には寮生5名も帯同させましたので、車での移動になって、往復約800kmの運転はさすがにちょっと疲れましたね。
特に帰りは、2日間で9時間の講習会に2時間の講義、夜の座談会と続き、居眠り運転が大変心配でしたが、子どもたちのさわやかな歌声とハイテンショナルな行動にも助けられて(?)無事に名古屋に着くことができてほっとしています。
さて、講習はと言いますと、もう夏の大会が近いこともあり、また昨年に続いて参加した生徒も多かったので、大変に良い緊張感と集中力を持って参加できていたように感じます。
特に夜の講義は、一日国体予選や講習を受けた後なので、疲れもあり、眠くなる生徒も多かったと思いますが、誰一人(先生方は別・・・笑)寝ることなく一生懸命にノートをとる姿に感動しました。
子どもたちの「強くなりたい」、「今よりもうまくなりたい」という気持ちに触れると本当に嬉しくなります。
実は、私の中では、疲れもあるので1時間くらいの講義にしようと考えていましたが、みんながあまりに熱心なのでついつられて気がつけば2時間の講義になっていました。
自分的には大変うまく講義をすすめることができたと思いますが、子どもたちにとってはどうだったでしょうか?
少しでも子どもたちの心に響く話ができたのであれば嬉しく思います。
せっかくなので、ここに話をした内容を少しまとめておきましょう。
今回の話は、「心」についてでした。
スポーツの世界でも何でも「心技体」が大切で、それをバランス良く向上させることで成績(パフォーマンス)を向上させることができると言われます。
その通りなのですが、もっとも大切なのは「心」です。
「技」や「体」の向上ももちろん大切ですが、それを高めるためには、何かに取り組むための意志がなければ何も始まりません。
すべては「心」が決めます。
そうと分かってはいても、「心」は測定することができません。
毎日このトレーニングをすれば力がつくというようなものでもありません。
なので、トレーニングすることの重要性は分かっていても実際にどのようにすれば良いのかがわからないのです。
まずは「自己分析」を行って、自分自身の特徴を知ることから始めましょう。
自分は闘争心や勝利に対する意欲があるのか、苦しさに耐える忍耐力は高いのか、などの特徴を分析しておくことは大切です。
心理的競技能力として、「競技意欲」、「精神の安定・集中」、「自信」、「作戦能力」、「協調性」の項目にまとめられ、それをスコアにしてあらわすことができるテストも開発されていますので、何となく自分の特徴を知ることはできます。
このようなテストを実施すると、その選手の特徴をある程度は把握することができるので、それを参考にしながら対応を考えることができます。
これらの項目の中で、「自信がない」ことや「精神の安定」と「集中力」が低いという特徴が現れる場合が多いものです。
それをうまく改善する方法を知っておくことは、きっと「心」の向上に役立つはずです。
今回の講義では、この点について話をしましたが、あまり話を進めると長くなるので、この続きはまたの機会にお話ししたいと思います。
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2008年07月06日
コーチとティーチャーの違い(1353)
「コーチ」と「ティーチャー」は違います。
もちろん「コーチング」と「ティーチング」も違います。
これは、よく言われることです。
「ティーチャー」は「教える人」なので、自分のもっている知識や経験を伝えることが仕事になります。
「お互いが向き合って行う仕事」であるという人もいます。
では「コーチ」は何かというと、「導く人」です。
選手が強くなりたいと願っている、その願いをかなえるために、進む道に導く役目を担うものです。
そのためには「教えないこと」だってあります。
逆に後退するように仕向けることだってあるかもしれません。
勇気を持って進めない選手を後押しすることは大変重要な仕事です。
「コーチ」は選手と向き合うのではなく、「お互い同じ方向を向いて」進もうとしているということです。
ここが「ティーチャー」との大きな違いです。
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2008年07月05日
リーダシップ(1353)
今、リーダーシップについて考えています。
私は自分がやろうとすることについて、基本的には自分一人でできる方法を考える性質です。
テニスのコーチという仕事をしようと考えた時、テニスを指導できることはもちろんですが、トレーニングやケアの指導もできるように準備をします。
海外へも引率できるように英語の勉強もします。
スクールカリキュラムや必要なネットワークについてもできる限り自分の力で何とかしようとします。
”ひとりトータルシステム”の構築を目指します。
そういう努力をすることは全く苦にならないし、いろいろなことを深く理解できるようになることを喜びに感じることの方が多いですね。
その結果、テニスの育成環境についてある程度は評価も得られるようになってきました。
しかし、それをうまく組織として活動できるように整備するのが苦手です。
組織をうまく動かすには、その組織のリーダーに「リーダーシップ」がなければなりませんが、私には「それ」が欠けているように思うのです。
言葉を変えると人をうまく使うのが苦手ということかもしれません。
基本的に人との付き合いは苦手な方です。
一見すると社交的で誰とでも気軽に打ち解けることができるような性格に思われがちですが、自称”明るいオタク”です。
時間がある時はいつまでも本を読んだり、パソコンを触ったりして閉じ籠っていることの方が好きです。
決して活動的な方ではないのですが、必要なことに関しては積極的にやろうと心掛けているので活動的に見えることもあります。
でも、やはり本質は閉じ籠って色々と考えることの方が好きです。
本質的なリーダーというものは、どんな時も動くことをやめない人だと思います。
パッと人を配することに長け、そのバイタリティとエネルギーで周りの人を惹き付けます。
そういう雰囲気が自然と出せる人をリーダーといい、その人の持つ資質を「リーダーシップ」と言うのだと思います。
自分にはあまり備わってはいない資質だと思うので、これから努力して身につけていかなくてはなりませんね。
人間は足りないものを知っていれば努力をするエネルギーがわいてくるものです。
湧いてくるエネルギーを枯らさないように行動力を磨いていこうと思います。
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2008年07月04日
リカバリーのスピードを上げる(1352)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -144-
サイドに大きく振られた状況でうまく返球したのはいいが、リカバリーが遅れると何の意味もなくなってしまう。
特に両手打ちのバックハンドでは、リーチが短い分だけ遠いところに打たれたボールを返球しようとすると胴体が大きく外側に移動するので、その動きをカバーし、リカバリーのスピードを上げるためのフットワークを手に入れなくてはならない。
最近は遠くのボールに対してもオープンスタンスで返球する選手が多くなってきた。
素早くリカバリーするには最適なスタンスである。
「インパクトゾーンが狭くなり、少しのタイミングのずれが大きなミスを引き起こす」などの問題点もあるが、強くなるには手に入れておかなければならないテクニックである。
是非トライしてほしい。
しかし、まだまだクローズドスタンスで返球する選手が多く、このスタンスでのリカバリースピードを上げる練習しておくことはバランスの良い両手打ちバックハンドを打つためにも大切なことだ。
このスタンスで打つときに特に注意してほしいのは膝の角度と向きである。
以下の解説をよく読んで実践していただきたい。
足を大きく踏み込んだときに曲げた右膝(右利きの選手の場合)に体重を乗せすぎてしまうと、返球したあと、重心が外側へ逃げるため、左足をサイドへ大きくステップさせないと、次への準備ができない(これをステップアウトという)。
これではリカバリーが遅くなるのも仕方ないだろう。
股関節を広げて膝の曲げる角度を小さく、体重をやや後ろに残すような感覚で返球すれば、重心が踏み込んだ方向へ大きく移動しないので、素早くセンターへ戻ることができる。
また、その時膝を進行方向よりも少し内側に向けることがポイントである。
こうすることで膝関節や股関節が大きな力を発揮することができ、筋肉に無理な負担をかけることがないので素早い動きができるとともに、長時間のハードな試合でも体力維持に貢献できる。
これは素晴らしい効果だ。
このスタンスでバランス良くスイングができるようになった上に、さらにリカバリースピードを上げる方法として「ジャンプリターン」をマスターしてほしい。
これは、返球すると同時に軽くジャンプしてターンし、両足を着き、そのまま地面を蹴ってセンターへ戻る方法である。
バランスよくスイングできていないと、踏み込んだ足のつま先の位置よりも重心位置が外側に大きくずれてしまう。
つま先の位置に重心位置がくるか、さらに内側にくるように身体コントロールすることができれば、あなたのリカバリースピードは格段に上がるはずだ。
強くなるに決まっている。
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2008年07月03日
自信(1351)
大学で「コーチング論」という講義を受け持っています。
その講義では、毎時間レポートを提出してもらうのですが、ある時のテーマは「自己分析」でした。
自分がどういう人間なのか、ということについて自分なりに解釈し、それを文章にしてまとめてもらうというものです。
いろいろな分析があって大変面白いのですが、「自分のことはよく分からない」という意見が多いのにはちょっとびっくりします。
講義は大学3年生を対象に行っているので、全員成人になっているはずですが、それでもなかなか「自分という人間」を捉えられていないということです。
まあ、これは哲学においても永遠の問題とされているので、「自分とは何か」について深く考察し、回答を得ることは難しいものです。
しかし、ある程度は自分の特徴を認識し、長所、欠点を把握して生活や行動の指針とするのは大切なことだと思います。
そして、私が少し不安に思うのは、「自分がしたいことは何か?」という問いに対しても、「よく分からない」と答える学生が多いということです。
自分がどういう人間かは把握しがたくても、自分がしたいことくらいは「何か」あるだろうと思っていましたが、それが「よく分からない」ということは問題だと感じています。
人間が一番つらい時は、「自分が何をして良いのか分からない時」だと言われています。
彼らはまさに「その時」に居るのだということです。
人生においては「その時」は何度もやってきます。
大切なのは、その苦しさの中から「何か」を見つけることですね。
どうやって見つければ良いのか、ということについては明確な答えはありません。
ただ一つ言えることは、「自信」が持てるようにするということではないかと思っています。
「何をして良いか分からない」ということは、「何を信じて良いのか分からない」と同じように捉えることができます。
特に「自分自身」を信じられない、つまりは「自信が無い」といういうことが一番苦しいということです。
だから、コーチは何とかしてこの「自信」をつけさせようといろいろと工夫努力します。
自分自身の経験から得た方策を話してみたり、夢を語ってみたり、目標を持つことの素晴らしさを説いてみたりしますが、なかなか難しいものですね。
そのためのひとつの方法としては、小さな「成功体験」を積み重ねる、ということがあります。
例えば、たばこやパチンコなど、自分の生活にとって“自分が”あまり好ましくないと考えていることについて、やめる決断をして、それを成功させるということです。
どんな小さなことであっても、それを継続的に成功させることは難しいものです。
それを何度か繰り返すうちに、何となく「自分でもできる」という「自信」が身についてきます。
さらにいろいろなことを経験し、それなりに克服し、納得し、次のステップを見つけるようになれば、自信を持って事に臨めるようになります。
それが「自信をつける」ということではないかと考えています。
それには、まず「自分がこうする」という決断が大切です。
どんな些細なことでもいいので、“自分で決める”ことが大切です。
そして、それをやり切るために「強く意識する」こと、まずは「ここ」から始めることです。
ある学生が私にこう言いました。
「先生は成功しているからいいんだよね。」
確かに私は大変充実した生活を送っています。
しかし、毎日毎日の積み重ねが何よりも大切だということを認識し、そのことだけに「意識」を向けています。
それを長いことを続けてきたので、「今の自分」があります。
学生さんたちは、これから素晴らしい可能性に満ちた人生があるかもしれません。
それを決めるのは「自分自身」であることを忘れないでください。
実は、このコラムは次の講義の内容にもなっています。
このコラムを読んだ学生さんはラッキーですね。
ノートをとる手間が省けました。
ここは「テスト」にも出ますよ。
頑張って勉強してくださいね(笑)。
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2008年07月02日
かけがえのない時間(1350)
今日は愛工大名電高校野球部の夏の大会前の最後のトレーニングを指導してきました。
3年生は、この大会が終わると引退になるので、もうなかなか顔を合わすことがなくなるのか、と思うとちょっとさみしい気がしますね。
高校生の指導は実質は2年間です。
本当にあっという間ですが、入学してきた時に不安でいっぱいだった1年生が、だんだんと生意気に(おっと失礼!)なって成長していく姿を見ることができるのが一番の楽しみです。
夏の大会に向けての抱負などを聞いてみると、やはり3年生はかなり緊張しているようです。
実際には夏の大会に初めてベンチ入りする選手もいるわけで、3年間とは言えども3回しかない夏の甲子園のチャンスを初めて手にしたので緊張するのも当たり前ですね。
最後の話として、
「緊張することは仕方ない。そうした緊張感を持っていても力を発揮する方法を学ぶ方がいい。そのためには“信心”を持つことが大切だ。かといって神様や仏様を今すぐに信じろ、ということではない。自分の気持ちが高まり、集中力が揺らがない言葉を見つけることだ。何かにすがることは悪くはない。それが自分の信じる言葉であれば、気持ちが揺らぐことは少ないはずだ。それと、呼吸をうまくコントロールすることは効果的だ。しかし、緊張が大きいと深呼吸しても心拍数を下げることは難しいかもしれない。そんな時は、少し時間をかけてストレッチしてみろ。試合前のウォーミングアップが終わり、ベンチに帰ってきてから試合開始までにはまだまだ時間がある。そんな時間を利用してゆっくりと時間をかけてストレッチするのが一番いい。そんなことをやると何となく落ち着いて、自分の力が出せるように思えてくるものだ。君たちの体力は申し分ない。技術も十分に持っている。あとは心の問題だ。今までやってきたことを信じて、自分のことを信じて戦えば結果はおのずとついてくる。」
というようなことを話しました。
今までこの子たちと過ごしてきた時間は私にとってはかけがえのないものです。
試合の結果はどうであれ、「そこ」にかけた思いは強く心に残るし、そうした経験はきっとこれからの人生にプラスになると信じて疑いません。
いよいよこの子たちの高校生最後の戦いが始まるのかと思うと、私の方もちょっと緊張しますが、自分自身ではやり残したことがあるような思いはないので、それこそ自分を信じてしっかりと見届けていこうと思います。
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2008年07月01日
鋭く切り返せ(1349)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -143-
遠いところに大きく振られた場合、両手打ちバックハンドで打つ人も片手で返球することになる。
この返球が弱いと簡単に打ち込まれポイントを失ってしまう。
やむを得ず行うシングルバックハンドであるが、その返球を鋭くしなければ強くなることは難しい。
問題は「グリップ」だ。
近いところのボールを打つときには厚いグリップでも問題は少ないが、遠い位置からシングルハンドで返球する場合、厚いグリップではボールは返らない。
シングルハンドでとれるような薄めのグリップで握る必要がある。
薄いグリップで握ると、シングルハンドでも力が入るため打球をブロックすることができ、さらに厚いグリップで握ったときよりもより遠くに手が届く。
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