2008年07月16日
自立のすすめ(1363)
最近の子ども達の動向について警鐘を鳴らす本がたくさん出版されています。
私もいくつか読んでみましたが、読めば読むほど子ども達を取り巻く環境は確実に悪くなっていると感じますね。
その中でも特に気になることのひとつは「つながっていないと不安症候群」です。
「ケータイ依存症」とも呼ばれるもので、「常に身につけていないと不安な気持ちになる」、「常につながっていないと気が安まらない」という感覚が強い人のことを言います。
そういう子ども達は大変多いですね。
私がそういう子ども達を見るときに思うのは、「スポーツでは『自立』がもっとも大切なことである」という持論です。
橋本治(「橋本治の男になるのだ」ごま書房)は、
「『戦いに勝つ』は、『なれあいの群れから離れて、自分の信念に従って生きる-そのことを押し通せる』です。このことこそが『自立』で、『自立』とは『戦い』が成り立たなくなった現代に唯一残された『戦い』なんです。」
と言っています。
ケータイに「依存」してしまう子ども達は、そもそも「自立」できていません。
そういう子ども達は「自分でやるべきこと」をちゃんとやれないケースが目立ちます。
それで強くなれるほどスポーツの世界は甘くはありません。
しかも、やっかいなことにこういう子ども達は「関係できない症候群」でもあります。
正高信男(「ケータイを持ったサル」中公新書)は、ケータイによるコミュニケーションの限界について明確に述べています。
「相手とどのようにして信頼関係を結んだらよいのか」ということがよくわからなくなっていると言うのです。
ほんの些細なことで友好関係が崩れることを何度も見てきました。
「つながっていたいのに、その関係が稀薄である」証かもしれません。
そして、このような子ども達は他人の「思い」、「痛み」に対して鈍感である傾向が強いとも言われます。
自己中心性がはっきりとでてしまうのだと思います。
このような問題は私のような子どもの指導者にとっては他人事ではありません。
私はスポーツに最も大切なことは「自立」であり、「自立」するために必要なことは「忍耐力」と「想像力・創造力」だと考えています。
その「力」をつけて「自立」した者だけが強くなるのが真実であり、「力」をつけさせるためにいろいろなことを工夫し、指導していかなくてはならないと強く思っています。
私のクラブでは、寮を含めてクラブ内での携帯電話の「使用」を禁止しました。
練習の終了時間が不規則なので、その連絡のために携帯電話を「利用」するのは認めますが、それ以外での「使用」は一切認めていません。
ここは「戦いの場」、「戦うための訓練の場」であるという意識を強く持ってもらいたいと考えるからです。
子ども達には強くなってほしい、心からそう思います。
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