2008年12月12日
勝負強さを鍛える(1513)
私が指導する選手を連れて、ブルネイで開催されたITFジュニアサーキットに参戦してきました。
この戦いの中での印象は、やはり日本人は「勝負弱い」ということです。
技術のレベルに大きな違いがあるとは思えません。
しかし、勝負に対する「執着心」と「気迫」が違うと感じます。
そして、それが勝敗を決めるというのが現実です。
今まで何度かそのような経験を通じて、メンタル(この場合「根性」という言葉が最も的確な表現かもしれません)の重要性を認識し、何度もトレーニングを積んできましたが、「壁」はまだ打ち破れないようです。
「ファイトするこころ」を日本人は失ってしまったのか、と悲観するときもありました。
もちろん、同じ日本人でありながら素晴らしいファイトを示す選手もいます。
ただ、多くの日本人選手がファイトできないで敗れ去っていくのは事実です。
この点を改善する最適な方法があるのでしょうか。
コーチはいつもその答えを探していくものなのかもしれません。
日本の選手は大変よく練習します。
朝早くから夜間の練習まで、私たちが練習に行くと、日本のチームの誰かは必ず練習しています。
地元のコーチにも、
「どうして日本人はそんなに練習するんだ?」
と言われました。
こう書くと、
「試合にまで行って練習しすぎるからいけないのだ!」
と批判される方もおられるかもしれませんが、私が見る限り、身体的な疲労が蓄積して、コンディションを崩し、本番で息切れするほどの練習をしているというわけではありません。
ごく当たり前のこととして練習をしています。
もちろん外国の選手も練習をしますが、練習時間は日本の選手のほうが多いはずです。
でも、試合になるとその力を十分に発揮できないのは、何かその取り組み方に問題があると考えられます。
あるコーチの
「最近の子供たちは、テニスはとてもうまいが強い選手は少ない。」
という言葉が大変印象的です。
私も同感です。
多くのコーチは、指導する子供たちに
「うまくなってほしい」
とはあまり願わないと思います。
「強くなってほしい」
そう願っているはずです。
そのためにいろいろな練習方法を工夫していると思います。
もちろん、同じように練習やトレーニングを積んでも、上達する人とそうでない人がいます。
素質の問題だ!と片付けてしまうのは簡単ですが、私たちコーチが目指すのは、いかに子供たちの力を最大限まで引き出すのか、ということです。
力を引き出すのはメンタルの問題です。
「火事場の馬鹿力」という言葉があります。
これは、人間は窮すると普段は出せないような力を発揮することができることを表した言葉ですが、身体トレーニングだけをしてもこのような力を引き出すことはできません。
これは人間の身体を守るために備わっている大変重要な防御機能なのですが、スポーツの世界では、この安全弁をはずして、身体的には危険な状態まで追い込んでも最大の力を発揮できるような人間が成功するのです。
そのためには、どんな練習をするのかではなくて、どのように練習に取り組むのかがもっとも大切な問題です。
「試合と同じ気持ちで練習をしろ!」
と叫ぶだけではあまり意味はありません。
試合と同じような緊張感や集中力を持って取り組むことができるような練習方法を考える必要があります。
そうした練習を通して、どんな状況にあっても自分の力を発揮する力をつけていかなくてはならないと思います。
試行錯誤は・・・続きます。
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