2008年12月09日
ウォーミングアップのトレーニング(1510)
試合はいつから始まるのでしょうか。
審判が「プレイ!」のコールをした時からでしょうか。
そうではありません。
実際に試合が始まる、はるか前から試合は始まっているのです。
プロの選手は、よく対戦相手の試合を見て研究しているといいます。
ある雑誌に、
「クレーバーなプレイで知られるマルチナ・ヒンギスも、他の選手の試合を熱心に観ている選手だ。」
と書いてありました。
戦いはそんなところから始まっているのです。
実際には、多くの選手は、顔もわからない選手と対戦しなければならないケースもあるので、その選手の試合を研究することはできないと思います。
そうであるならば、どのような選手と戦う場合にでも対応できるように、身体の機能を高めておくことにもっと意識を向けなければなりません。
しかし、ウォーミングアップにはどれくらいの時間をかけ、どのような内容のトレーニングを行えばよいのかについて多くの情報があるにも関わらず(もちろんストレッチだけでは十分でないことは理解しているはずです)、きちんとウォーミングアップを行うケースは少ないように思います。
なぜでしょうか。
そこには「邪魔をする変なプライド」があります。
そうしなければならないことはわかっているのに、
「一生懸命練習するのが恥ずかしい。」とか
「一生懸命にやることはかっこ悪い。」と考えて、
「私は一生懸命やらなくても強い選手である。」
というプライドを満足させることを優先させるのです。
これは大変におかしな考え方です。
小さいころからテニスをやっていて、それなりに成績を上げている子には結構多いパターンです。
また、練習前のウォーミングアップを適当にやっていることも原因のひとつに挙げられます。
私は次のような実験をしたことがあります。
早朝練習を行ったとき、練習開始の時間を7時に決めて、それまでに練習ができるようにウォーミングアップを済ませておくように指示しました。
実際にボールを打つミニテニスのようなウォーミングアップは禁止にしました。
そして、時間が来たときに
「さあ、今から試合をしよう。」
というと、
みんなは一斉に「えっ!」というような顔をしました。
そこで、
「では、今すぐに試合ができるものは手を挙げなさい。」
というと、ほとんどの子の手は挙がりませんでした。
ウォーミングアップに対する意識の低さが明らかになってしまいました。
そこで、ウォーミングアップは「試合や練習で自分の持てる能力を最高に発揮するために準備をすること」という認識を強く持つようにアドバイスしました。
それから子供たちのウォーミングアップに対する取り組み方は大きく変わりました。
「戦う」ための姿勢が感じられるようになったのです。
試合は「戦い」です。
そのため自分のすべきことを全力でやる姿勢をまず身に付けなくてはならないと思います。
「出来ないのはやらないから」を徹底して覚えることも必要だと思います。
野球では、走にスランプなしと言われます。
うまく打てなくても、全力で走ることはできるからです。
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