2008年12月20日
目標を明確にする(1521)
テニスの科学(3)
視角は、他の聴覚や筋感覚よりも優位にパフォーマンスに影響することはいうもでもないことであるが、技術の向上に必要な視角能力は、周辺視、奥行きの感覚、動体視力など網膜や皮質視角野に到達する視角入力であるといわれる。
コントールは、大脳中枢に関係する神経系の働きによることが大きいが、周辺視を拡大することで神経の伝達効率が改善されるともいわれ、ボールを注視しながら、周辺に対する視角情報を処理できるようにすることは、的確に相手の位置を把握することになり、ボール打球コースを選択することができる能力に直接的に結び付く。
これはかなり戦術的な側面ではあるが、ボールコントロールといってよいであろう。
奥行きの感覚については、人間にとって難しいものであるようだ。
その証拠を示すと、まず、上空の奥行きについては「錯視」がある。
これは、まったく大きさが同じ月であるのに、天頂にある月は地平線付近にある月よりも小さく見えることからもわかる。
写真でとれば全く同じ大きさに移っているのに不思議であるが、実際に天頂の月は小さく見える。
その原因についてはまだわかっていないそうであるが、視空間が歪められることに違いはない。
これがスマッシュのコントロールミスを引き起こす原因になっているかもしれない。
このような感覚をトレーニングするためには、応用的な練習だけではだめである。
比較的やさしいボールを何度も繰り返して打つ基礎的練習が重要なのである。
スクールなどでは、いろいろなドリルを消化して、目先の楽しみを提供することも必要なことは理解するが、感覚的なものを学習するには単純化された基礎的練習で距離感をつかむことが重要な事は忘れないでいただきたい。
余談ではあるが、サルには人間のような視空間の歪みがないそうである。
これは樹上で生活するサルが錯視をして、毎回のようの樹から落ちていたのでは生活できないことによるそうであるが、サルはスマッシュがうまいかもしれない。
また、コントロールとスピードの関係について調べた実験でも、左右の誤差に比べて、前後の誤差がかなり大きく、前後へのボールコントロールの難しさをあらわしている。
また、初級者に自分の打ったボールが相手のコートのどこでボールがはずんだのかを指摘するように指示すると、じつにばらばらな答えがかえってくるそうである。
これも、前後へのコントロールの難しさを示している。
ボールコントールを高めるためには、視角的な入力反応系の能力を高めることが大切であるが、その場合、道具を工夫することで大きな効果が期待できる。
ネットを不透明なものに切り替えた場合には、通常のネットに比べてネットミスが減少し、ネットの上に的を作り、ここを狙えば自動的にサービスコートに打球できるような方法ではサービスのコントロールが良くなり、ミスが減少したということである。
このように、目標物を明確に指定したりすることは高い練習効果が期待できる。
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