2009年03月01日
グリップの違いで何が変わる-1- (1592)
テニスの科学(36)
-人間にもっとも適したグリップは何か-
以前、人間の手の機能とその機能を最大限に生かすためにはどうしたら良いのかについて解説したことがあります。
その中で、いくつかの提案をしたわけですが、その中で「グリップを変えると全身の動きが変わる」ということを書きました。
確かに、手というのは高度の発達した感覚器官なので、そのわずかなずれによっても全身の動きに影響を及ぼすことが確かめられています。
また、写真やテレビでのプレーを観察していると、厚いグリップや薄いグリップによって動きの特長になんらかの共通性を見いだすことができます。
一般的に用いいられるグリップについて調べてみると、コンチネンタル、イースタン、セミウェスタン、フルウェスタン、と実に様々なグリップがあることが分かります。
また、グリップの違いによってどのような違いが生じるのかについても多くの解説があります。
それらを整理してみると、
1.インパクト位置が違う
2.身体の向きが変わる
3.スイングの方向が変わる
4.インパクトでの手首や肘の角度が変わる
が代表的なところです。
そして、それらの指導書では、おおむねトップスピンにはセミウェスタンやフルウェスタン(ウェスタン系)が適しており、フラットやスライス、ボレーなどのショットにはコンチネンタルやイースタン(コンチネンタル系)が適しているという解説が多いですね。
しかし、動きがグリップによって変わることは間違いありませんが、トップスピンを打つにはセミウェスタンかフルウェスタンでなければならいこともないし、実際に多くのトップ選手がそれほど厚くないグリップでトップスピンを打っているように思います。
好意的に解釈すれば、ハードトップスピンを打つにはウェスタン系のグリップがもっとも適しているということはいえるかもしれません。
最近のテニスでは、ヘビーなトップスピンを自在にコントロールすることはトッププレーヤーにとって必須の技術です。
それが自分のベースのストロークとなるかどうかは別として、少なくともパッシングや攻撃的なトップスピンロブなどでポイントをとるか有利な展開に持ち込むには、「ここぞ」というところでハードなトップスピンが打てなくてはトップに君臨することはできないと思われます。
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グリップを決める要因のもう一つとして「相手からのボールをどの打点の高さで打つか」ということも関わってくるのではと考えるのですがいかがでしょう。ヘビースピンをかける選手が多くなったこと、バウンドが高くなるハードコートや、固くしまったクレーコートではボールは高く弾むかと思います。ベースラインから下がって低めの打点で打つケースと高い打点でも当てるだけにならないようしっかりと返球するといったケースがあるかと思います。そういった戦術面との絡みからもグリップの違いが出てくるのではと思います。
あくまでも素人ながらの考えですが、大島コーチ様の考えはいかがでしょうか。
体験的なことでいえば、薄いグリップでも厚いグリップでもボールをつぶすことで十分なスピン回転とボールスピードの両立したボールは打てると考えています。
前後位置や左右位置では違いがなかったので、高さに関してはグリップの違いが大きく現れるということでしょうか。
グリップの良し悪しを評価するのではなく、自分の感覚に最も合うグリップで、いろいろな状況に対応しやすいグリップを見つけることが大切だと思います。
なるほど、そうですか!ボロテリーによる著書の中では同じスタンスでグリップを変えた時の打点の位置の説明では、前後位置(打球方向に対して)もグリップごとに変わっていることが写真から説明されています。このことと反する結果が導かれているということであれば全く興味深い事実の発見ですね。今後の記事が楽しみです。