2009年03月20日
グリップの違いで何が変わる-7- (1571)
テニスの科学(42)
このようにグリップが全身の動きに及ぼす影響を見てくると、少なからず影響を及ぼすものの指導書にあるような大きな違いは見られません。
ゴルフの実験結果でも3種類のグリップ(オーバーラッピング、インターロッキング、テンフィンガーグリッピ)について検討した結果、クラブフェースの方向性やスピードなどに対する影響は観察されず、グリップの形は問題でないように考えられています。
しかし、このような微妙な違いが人間の特長で、その微妙さが個人の骨格や体格、筋力等の身体的な要素のみならず、考え方や好みといったメンタル的な要素をも含んで、感覚を頼りに形成されてくるものであると言えます。
また、上級者はグリップの違いを上肢の動きで吸収(?)して、下半身の動きに伝わらないように身体の動きを調節しています。
このような自動化された動きが良いパフォーマンスには必要で、このような感覚をトレーニングする必要があると思います。
今回の実験結果やこれまでの研究だけでは人間にとってもっとも自然なグリップとはなにかという問いに対して結論は導きだせませんでしたが、初心者であっても無意識的に自分の感覚に従ってグリップを自分がもっとも握りやすいように握るわけで、それをはじめから無理に矯正するべきではないという結論を支持することになりました。
ただ、これは観察だけの結果です、幼児に異なるグリップでボールを打球させてみると、意外にもフルウェスタングリップがもっともスイング動作がスムースで安定しており、その結果大変に良いボールが打球できる確率が高いことが確認されています。
最近のプレーヤーは小さい頃からテニスを始めるケースが圧倒的に多く、その時、何も考えずにラケットを握っていたのがそのまま自分のグリップとなったというケースが多いと考えられます。
そう考えると、今これだけウェスタン系のグリップが多いのは、フルウェスタンのグリップは決して特別なグリップではなく、実は最も自然なグリップである可能性も否定できないのです。
これについても今後の研究を待たなくてはなりませんが、指導者として、注意深く観察して、より適切なグリップを指導できるように努力していかなくてはならないと思います。
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