2009年02月25日
テニスのフットワーク -9- (1588)
テニスの科学(34)
◎ユニット・ターン
身体の捻りとスタンスは大きな関係があると述べました。
そこで、動作解析の結果から、特に、腰と肩の捻りについてみてみることにします。
各スタンスにおける肩関節と腰関節の角度変位を調べました。
肩関節角度は、両肩を結んだ線とネットのなす角度、腰関節角度は両腰を結んだ線とネットのなす角度で、両角度とも上方からみた角度です。
まず、角度変位に着目してみると、上級者は、インパクト直前まで肩関節角度と腰関節角度に大きな差はみられません。
それに対して、初級者と中級者は、肩関節角度は大きな変位を示しているものの、腰関節角度の変位が小さいことがわかりました。
このことは、上級者は、インパクト直前まで、肩も腰も同じ様に十分に捻っているのに対して、初級者、中級者は、腰の捻りが十分でないことを示しています。
特に、初級者のオープンでは、肩関節角度の変位が小さく(肩を十分に捻っている)なっているのに対して、腰関節角度は変位変動がほとんどない(腰を十分に捻っていない)ことが示されました。
初心者は、身体の捻り(特に、腰の捻り)が少なく、ネットに正対してインパクトを迎えることが多く観察されるとの報告もあり、この結果は、これらの報告と一致します。
安定したスイング動作のためには、軸足で正しく立つことが重要であると述べましたが、片足で安定して立つためには、腰をわずかに外側に捻る(軸足側に捻るといった方が良いかもしれない)ほうが良いと思われます。
上級者は安定した待機姿勢を保つために、腰の捻りを行っていると考えられます。
それに対して初級者、中級者は腰の捻りが十分でないので、安定して立つことができません。
特に、オープンでは、両足をネットに対して平行に近い形でスイング動作を行うので、腰を十分に捻ることができない初級者、中級者は、軸足に正しく立つことができないのです。
また、安定した待機姿勢を作るとともに、強い回転運動を生むために、腰の捻りが重要になってくるのは当然のことです。
そのためには、肩と腰を同時に捻る必要があります。
これは、ユニット・ターンやボディ・ターンといわれるもので、その重要性は多くのコーチが指摘しており、ジャック・グロッペル博士も、その研究データからユニット・ターンの重要性を指摘しています。
次に、角速度についてみると、上級者は、インパクト直前からインパクトにかけて、肩関節角速度が急激に増加し、増加の途中でインパクトを迎えています。
それに対して、初級者と中級者の肩関節角速度は、インパクト直前にピークがあり、速度が衰えながらインパクトを迎えていることが示されています。
初級者と中級者では、腰の捻りが十分でなく、また、腰の回転のパワーを肩の回転のパワーに結び付けることができないと考えられます。
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