2009年01月17日
テニスのアドバイス(1548)
テニスの科学(15)
コ―チのアドバイスは技能を上達させるためには欠かすことのできない重要なものであり、多くのコ―チはどのようなアドバイスをしたら短期間で上手くさせることができるのかと日々頭を悩ませている。
このようなアドバイスの多くは、コ―チの長年にわたる指導経験によって培われてきたものであり、その効果は高い。
しかし、技能を向上させるのに、どのようなアドバイスがより効果的であるのか、その意味することは何かについての意見は、コ―チ一人一人によって違い、はっきりしていない。
指導における感覚用語と指導用語の意味する所を科学的に解明していきたい。
・横を向く
肩を入れるとも関連があるが、単に身体をネットに対して横に向けることを意味しているのではない。
テニスは身体の捻りを最大限に使って、身体を回転させる力を利用して打球することが重要である。
そのためには腰の捻りの角度と肩の捻りの角度に差がなければならない。
ということは、肩を十分に捻るために胸は横を向いても良いが、腰はやや正面に開き加減で、胴体部分を十分に身体を捻ることができるような構えが望ましいといえる。
多くのトッププロがオープンスタンスを多用し、身体を十分に開いて打っているのはそのためである。
ただし、こういう打ち方は、インパクトのタイミングを合わせるのはやや難しいので、初心者には段階的に導入する必要がある。
・ラケットを立てる。
ラケットを立てるという場合に、テイクバックでラケットを立てるという場合と、インパクトでラケットを立てるという場合でその意味合いは違う。
テイクバックでラケットを立てるということは、その後のフォワードスイングに向けてラケットの運動量を大きくするためには大切な要因である。
ラケットを高い位置に置いておいて、そこから大きくまわすようにスイングすれば、より少ない筋肉の負担で大きなラケットの運動量が得られる。
ただし、大きくすればそれだけ時間がかかるので、振り遅れの原因にもなってしまうので、スイングスピードとラケットの運動量のバランスを考えて指導しなくてはならない。
スモールサーキュラースイングを推奨するのはそのような理由からである。
一方、インパクトでラケット立てるというのは、インパクトにおいて最もグリップ力を必要とするので、手首が伸びてラケットを支える形にならないようにという意味合いで指導されることが多い。
これは大変に重要なことであるが、指導する場合には2つのことを考えなければならない。
ひとつは、ラケットを支える角度にはもっとも力の入りやすい角度があるということである。
腕とラケットが90度になるようになどという指導はナンセンスであり、人によ手もやや違うが140~160度程度の角度が最も力が入りやすいであろう。
もうひとつは、インパクトの瞬間の形や力の入れ方をアドバイスするのはあまり良い結果を生まないということである。
これは実験的にも確かめられており、最も楽に構えることができ、最も力の入りやすい形をって行くバックで作ったら、そこからはできるだけスムースに振り抜くことが良いのである。
なお、最も楽に構えさせるのに、「ラケットを支えるように持ってみて」というアドバイスは、「力を抜いて構えてみて」というアドバイスよりも効果的である。
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