2008年09月26日
日本伝統の「構え」(1435)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -176-
能では基本となる「カマエ」というただ舞台に立っている行為で、周りの空気の動き、緊迫感を醸し出さねばならない。
そのためにはいわゆる「形」や「型」はほとんど関係なく、身体で「ある特殊な状態」を作ることだといわれている。
この身体で作り出す「ある特殊な状態」とは何なのか、それこそがいわゆる正しい「構え」につながると思う。
しかし、それは現代のスポーツ科学をもってしても解明はできない。
少し経験のあるテニスプレーヤーなら、あるプレーヤーを見たとき「むむっ、こいつはできるな」と感じることがあるし、経験あるコーチならぱっとみただけである程度その人のテニスの技量を推し量ることができる。
このとき、そのひとの「姿勢」とか「表情」も参考になるし、さらにいえば「話し方」や「呼吸の仕方」からも力量を察することができる。
膨大な情報をもとにして、そのプレーヤーの「質」の状態を探っているのだ。
そして、極めて優れたパフォーマンスを示すことができる段階まで能力を高めることができたとき、人はその動きに「美」を感じる。
フェデラーのテニスが「美しい」と評されるのは、極めて優れた「構え」を持っているからだ。
「美」を形成する要素として、動きの「正確性」、「流動性」、「リズム」、「力動性」、「調和」をあげることができるといわれる。
それを数値に置き換えることがどれ程大変なことであるかおわかりになるだろう。
あえて言えば、素晴らしい絵画を客観的な数値に置き換えて、その数値が高いほど良い絵であると判断するようなもので、そんなことは不可能である。
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