2008年11月18日
不十分の力(1488)
大学での講義を始めて半年以上経ちました。
初めの頃はいろいろと戸惑いもありましたが、今は楽しんで教えることができるようになってきました。
最近、気が付いたことがあります。
講義の前の日に準備をしますが、話の内容をまとめ、流れを作ってノートに書き示し、状況を浮かべながら自分なりのストーリーを作っていきます。
不思議なことに、きちんと準備をした時に納得のいく講義ができるのかというと、そうではなく、まとまりがなく少し不安がある時の方が話がスムースにできるということです。
どうしてか考えてみました。
きちんと準備をした時は、頭の中でリハーサルした通りに進めなくてはならない、というようなプレッシャーがあります。
ちゃんと準備しているので、安心感はあるはずですが、それがかえって変な緊張を作り出すのかもしれません。
うまく準備ができていない時は、始めから少しの不安があるので、その時の話を目一杯集中してやろうという意識が強く、事前に準備したストーリーに縛られることなく話があちらこちらに飛びながら自由に跳ねまわります。
そういう時の話は、飾らない本音の話であったり、今迄の経験を思い浮かべながら熱く語っている時でもあります。
きっと学生たちにもその思いが伝わるので、話に対する反応も良く、それが気持ちを高揚させる効果をもららしてくれるのかもしれません。
テニスでも同じ・・・かな。
試合前に自分の思い通りに練習できていた時よりも、ちょっと足りないと感じる時や不安を感じることで、試合における集中力が高まるのかもしれません。
これを「不十分の力」と呼んでもいいかもしれません。
完璧に準備ができることはほとんどありません。
それを過度に意識しすぎて、過緊張になることは避けなければなりませんが、不十分さを自覚する時は思いもよらない力を発揮することもある、ということを覚えておいて損はないと思います。
大学の講義ではあまりいい加減なことはできませんが、それでもその場その場で思い浮かぶことを自由に語りかける姿勢を失わないで講義を進めて行けたらなあ、と思っています。
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