2008年03月11日
追い込む力(1149)
私の愛読する(?)中日新聞に、「女王の素晴らしさを垣間見る」と題するコラムがありました。
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柔道担当記者になって2年。いつも驚かされるのは、谷亮子(トヨタ自動車)の競技意欲だ。
女子48キロ級で五輪2連覇を果たした翌日の15日。
報道陣に囲まれた谷は、事前にコメントを用意していたかのように言った。
「今度は練習の成果を発揮するための能力を磨きたい」
並の王者なら、しばらくは勝利の余韻に浸っているところ。
そのさなか、ここまで貝体的な強化プランを披露できる選手もそういない。
2000年シドニー五輪で悲願の金メダルを獲得。
これを境に谷が柔道を続ける動機は「記録との闘い」に変わった。
競技者であれば、好調な年も不振の年もあるだろう。
数字や記録に重きを置くほど、背負う重みを増す。
ただ、女王が素晴らしいのは、柔道の中身を追究する姿勢を失わずにいること。
「自分に対する繊細さが大切」と言うだけあって、強化のためのアンテナは日常生活にも広がっている。
「最近は人が歩く姿を見るだけで、力が強いとか、こんな技に弱いとかが察知できるようになりました」
凡人記者には生涯到達不能の境地だが、こんな言葉に触れるたびに、谷が頂点に君臨し続ける理由を垣間見た気がする。
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ということです。
達人の言葉は、いつも人の心を揺り動かします。
私はこのコラムを自分のノートに貼り付け、かっこよく言うならば「心の糧」にしました。
私が、感動するのは、こうした言葉だけではありません。
谷選手は「自分を追い込む力」を持っていると確信できるからです。
優勝した瞬間に大きく振り上げた手の先はテーピングだらけで、痛々しいほどです。
それほどまでに、「自分を追い込む力」を持っているからこそ、その言葉に重みが出てくるのだと思います。
いつも感じることのひとつに、この「自分を追い込む力」が足りないということがあります。
「この試合にかけるものがあります」
「絶対に勝ちたいと思ってがんばりました」
その通りだとは思いますが、その言葉からは「思い」は伝わってきません。
「自分を追い込んで」いない者は、その発する言葉に重みはありません。
女王をして、「今度は練習の成果を発揮するための能力を磨きたい」と言います。
道は遥かなるものであるが、求めていく道は「そこ」にしかないのかもしれません。
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