2008年03月01日
自立を支えるもの(1139)
この間、ヒグマと暮らす人のドキュメンタリーを見ました。
何かしらの理由で親を失った子熊を引き取ってともに生活し、野生に還す仕事をしています。
ほとんどの場合はうまくいかないそうです。
人間に育てられた熊は野生に馴染めず、また人間のもとに帰ってくることが多いらしいのです。
うまく野生に還すことができるかどうかのキーワードは「自立」ということです。
その「自立」がうまく身につけば本来の生活に戻ることができるのですが、それがなかなか難しいのだそうです。
サポートする人間の心がけが大変に重要で、「これ以上踏み込んではいけない一線は、絶対に踏み越えない強い意志」が必要ということです。
なんでもかんでも与えてはいけない、ということですね。
スポーツ選手の育成も同じです。
「自立」が何よりも大切であることは何度も言ってきました。
しかし、それを促し、うまく身につけさせるためにどう接していけば良いのか、どのようなサポートが望ましいのかは大変難しい問題です。
棟梁と弟子の関係で技が伝達される関係が良いと言われることもありますが、接する時間が限られていたり、多人数を対象とする時には難しいと思います。
「自分たちで考えろ!」は大変便利な言葉ですが、何か指標となるものを与えておいた方が理解が深まることも多いものです。
時には細かく指示することが有効な場合もあるでしょう。
これですべてがうまくいく、という方法があるわけではないので、経験と知識によってできるだけ有効な方法を考えて処方していかなくてはなりません。
そのときの私の基本的な姿勢は、「よく観て察する」ということです。
伝えたいこと、身につけてほしいことを一方的に伝えるのではなく、子どもたちがどう捉えているのかをそのしぐさや表情、行動から「観て察する」という姿勢です。
相手の立場に立って物事を考えようということでもあります。
「自立」の基本は、「自分で考えて行動する」こと以外にありません。
だから、じっとその行動を観て、気持ちや考えを察して、適切な行動の指針を示すようにしています。
人間を理解するのは難しいものです。
うまくいかないときの方が多いかもしれません。
しかし、その考えが私の「一線」です。
これを超えないように、多くの子どもたちが自分で考えて行動できるような指導をしていこうと思います。
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