2008年05月11日
手の感覚を高める(1300)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -114-
「自分に最適なグリップ」を見つける方法について解説した。
もう見つかっただろうか。
そう簡単ではないと思うが、毎日毎日グリップを握り続けることできっと見つかるはずだ。
まだ見つかっていない人のために、もう少しヒントを与えよう。
上手く自分のグリップが見つからない人は、手の感覚が少し鈍っている場合が多い。
この感覚を高める訓練をすることで、最適なグリップが見つかるだけではなく、テニスのパフォーマンスが格段に上がる可能性がある。
強くなるには大変大切なことだ。
まず、手の構造と機能について少し学習しよう。
はじめに、自分の手のひらをじっと見つめてほしい。
人それぞれに形が違い、指の太さやしわの数などは同じものどないし、自分の手であってもその日の体調や気温などによっても変わるのが普通である。
まあ、最近はなかなか自分の手をじっと見つめることなどないかもしれないので、しばらく見つめてやってほしい。
「ああ自分の人生が刻み込まれた、ごわごわだけど愛しい手だなあ」と感心するのは私だけかな。
一見何ごともないかのように見える手であるが、道具を作り、道具を扱うのに大変適した構造を持っている。
手には全部で27個の骨があり、深い溝の直下に骨の継ぎ目(関節)があり、曲げたり、伸ばしたりという運動を助けている。
また、紋は凹凸状になったものが何重にもあり、凸部分には小さな穴が一列に並んでいて物をつかんだときに滑らないように滑り止めの役割を担っている。
最近は手袋をしてラケットを握る人が多い(特に中高年の女性)。
確かに日焼けを防いだり、怪我を防ぐことはできるかもしれないが、滑り止めの機能や感覚器としての働きを失うことになる。
感覚を研ぎ澄まし、手の持つ機能を高めることができればテニスのレベルは向上するはずである。
そのためにもできるだけ素手でラケットを握ってほしいものである。
私たちに時代は、手につばをぺっぺっとはきかけてプレーをする人も多かったが、実はこういう人は手を上手に使える人なのである(ちょっと汚そうなのでまねしなくていいですよ)。
手を動かす筋肉は全部で25個あるが、これらの筋肉が微妙に動くことで複雑な手の動きが実現されている。
その基本的な運動パターンは、
手首を手のひらの側と手の甲の側に曲げ伸ばす(屈曲と伸展)
手首を親指側と小指側に曲げる(橈屈と尺屈)
前腕を内側と外側に捻る(回内と回外)
親指を他の指に近づける(対向)
の4つである。
このパターンのうち、手の回内、回外がうまくできないと運動を器用に行うことができないといわれる。
グリップを強く握り締めすぎたり、不適切なグリップでは回内、回外をスムースに行うことはできない。
上級者はインパクト前後で回内や回外をはじめ、橈屈や尺屈などを最適に行うことによりスイングスピードを高めたり、スムースな動きを生み出したりするのである。
また、「対向運動」は人間だけが行うことができる運動である。
ドアを開けるとき、人間は手のひらが取手に触れないように包むように握ってノブを回すが、ゴリラやチンパンジーは「対向運動」ができないのに加えて、親指が短く、なおかつ親指を内側に曲げる筋肉が弱いので、取手を4本の指で握り、手首を曲げたり伸ばしたりしてドアを開ける。
みかんを握らせても、人間は5本の指を同時に曲げて包むようにして持つことができるが、サルやチンパンジーは非常に不安定で、すぐに落ちそうな印象を受ける。
このことから、「握る」という運動に関して「親指」が大変重要な役割を果たしていることがわかる。
グリップのどの位置を握るのがもっとも良いのかについては一概には言えないが、親指の位置だけはチェックしておいた方が良いだろう。
指導していると、親指を他の指には触れないように、ラケットの上に置く人、わかりやすくいうと、高島忠男の「イエーイ!」の形(知っている人は少ないだろうなあ)でグリップを握る人が多いのには驚かされる。
この点はきちんと指導しなくてはならない。
このような人は、「握る」という訓練をあまりしていない人なので、グリップを強く握ったり緩めたりする運動を練習前に行うことが必要である。
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