2008年05月05日
基本のグリップとは何か(1294)
強くなりたいあなたに贈る100ぐらいの法則 -111-
グリップについては指導書やコーチによって指導する内容が大きく異なる。
名前だけ取り上げてみても、「コンチネンタル」、「イースタン」、「セミウェスタン」、「フルウェスタン」などがあり、オリジナルグリップを提唱する人までいる。
そして、どれを推奨するのかについては、まさにコーチの気持ちひとつというところだ。
そこで、実際にたくさんの指導書を調べて(めちゃめちゃ本読みました!)、グリップの違いによってどのような違いが生じるのかについて整理してみると、
1.インパクト位置が違う
2.身体の向きが変わる
3.スイングの方向が変わる
4.インパクトでの手首や肘の角度が変わる
が代表的なところである。
そして、それらの指導書では、おおむねトップスピンにはセミウェスタンやフルウェスタン(ウェスタン系)が適しており、フラットやスライス、ボレーなどのショットにはコンチネンタルやイースタン(コンチネンタル系)が適しているという解説が多い。
なので、グリップの種類としては、このウェスタン系とコンチネンタル系の2種類であると言っても良い。
しかし、グリップによって動きが変わることには間違い無いのだが、トップスピンを打つにはセミウェスタンかフルウェスタンでなければならいことも無いだろうし、実際にグラフやサンプラスは、それほど厚くないグリップでトップスピンを打っているように思う。
好意的に解釈すれば、スペインや南米の選手によくみられる、いわゆるハードトップスピンを打つにはウェスタン系のグリップがもっとも適しているということであろう。
確かに最近のテニスでは、ヘビーなトップスピンを自在にコントロールすることはトッププレーヤーにとって必須の技術であるように思う。
それが自分のベースのストロークとなるかどうかは別として、少なくともパッシングショットや攻撃的なトップスピンロブなどでポイントをとるか、有利な展開に持ち込むには、「ここぞ」というところでハードなトップスピンが打てなくてはトップになれないであろう。
では、そのようなトップスピンの技術が必須であるならば、初心者やジュニアにもその技術は教えなくてはならないはずである。
しかし、初心者やジュニアのスクールで厚いウェスタン系のグリップを指導する場面はあまりみたことがない。
その理由をさきほどの指導書に探してみると、「初心者(ジュニア)は、基本であるフラットから教えるべきである。そのためには正しいコンチネンタルグリップ(イースタングリップ)を指導することが望ましい」と解説してある場合が多く、その理由として、
1.インパクトの感覚を覚えやすい
2.グリップに無理が無く、もっとも自然なグリップである
3.他の技術に応用がしやすい
4.早くラリーができるようになる
などとしている。
果たしてそれは本当なのだろうか。
インパクトの感覚は、それぞれに適したグリップがあり、初心者であっても無意識的に自分の感覚に従って、自分がもっとも握りやすいように握るわけで、それをはじめから矯正するべきではないと考える。
ましてやコンチネンタル系のグリップがその人にとって良いグリップかどうかはわからないし、多くの人にあてはまるかどうかも定かではない。
それが自然かどうかなどどうやってわかるのだろうか。
「基本がコンチネンタルグリップである」というのは納得いかないし、「早くラリーができるようになる」というのもかなり怪しい説のようにも思える。
しかし、「どのグリップが人間にとって自然なのか?」と問われると、返答に困ってしまうのも事実である。
そこで、グリップの違いがどう人間の全身運動にどう影響を及ぼすのかについて整理しながら、この難解な問題に私なりの解答を導きだしていこうと思う。
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