2009年04月20日
構えを科学する-7- (1602)
テニスの科学(55)
-力は抜いて構えるのが良い?-
さて、身体の前傾と深さ両腕の位置などが良い「構え」を作る身体の角度、(これは姿勢要素ということができる)について見てきたわけですが、次に力の面に目を向けてみましょう。
良い「構え」とは、力を抜けるだけ抜けば良いものなのでしょうか。
よく指導者からは、
「力を抜け」
とか、
「力を抜いて構えろ」
と指導されるので、なんだか完全に力を抜いたほうが良いように思ってしまうます。
もちろん完全に脱力した状態や全力での「構え」などは論外であることはおわかりいただけると思います。
では、具体的にどれくらいの力の入れかたが適切なのでしょうか。
このことについても、実際のテニスの「構え」について調べた研究結果があるわけではないので、多方面からの情報を調べて統合的に意見を述べさせていただきます。
誰もがある程度は身体を安定させるように「構え」るはずです。
これを運動学的に言えば、関節を固定するように主導筋と拮抗筋が共収縮の状態にあるということです。
運動を始める直前、もしくは運動中であってもこのような共収縮が適切に発揮されなくてはならないはずです。
その割合は約20から30%です。
これくらいの軽い緊張を伴って「構え」ることが望ましいのです。
上肢に関しては、もう少し低い値で10から20%程度であると推測されます。
しかし、20%の力で「構え」るようにといっても、よくわかりません。
グリップについて言えば、我々の実験では「支えるように」という指示がもっとも適した「構え」を作ると考えられました。
このことから、同じような感覚が良い「構え」の力の入れ具合作ると考えられるので、ここでは支える感覚で「構え」ると言ってしまいたいと思います。
だらっと構えるでもなく、ふんばって構えるでもなく、上体の前傾を軽く両足、膝で支えるような感覚、上腕でラケットと前腕を支えるようにそっとさしだす感覚、そして支えるようにラケットを持つ感覚が良い「構え」を作る条件なのです。
能は静止していても回転している独楽が静止してみえるように、内側に大きな緊張力がこもっているといわれます。
テニスの「構え」では、大きな筋の緊張力を必要をすることはありませんが、少なくとも適切な筋肉の緊張とともに、気合いも含めた精神的な緊張感は優れた「構え」をつくるのには必要なのです。
人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!