2009年04月12日
構えを科学する-3- (1594)
テニスの科学(51)
-かかとはあげて構えたほうが良いか-
よく「軽くかかとをあげて構えるように。」と指導される場合があります。
私もテニスを習いはじめのころ、かかとをあげないで構えていて、先輩から、
「なんてだらしない構えだ!」
とお叱りを受けた記憶があります。
また、トレーニング法としてもかかとをあげて歩くことが良いといわれ、そのための特別な靴も市販されているので、何となくかかとをあげて構えることが良い「構え」であるように感じているものです。
個人的ではありますが、漫画のドカベンで山田太郎が電車の中でかかとをつけないトレーニングをしているのを読んで、少しの間試したことがあります。
結構きついトレーニングであったような気がします。
このように、トレーニングや日常の健康を維持するためにはかかとをあげて歩くことや動くことは効果があることが知られています。
しかし、かかとをあげて構えることがすばやい動きにつながるかどうかは確かではありません。
そこで幾つかの文献を整理してみると、陸上のように直線的に動くことに限られる運動についてはそれほど問題はありませんが、テニスのように相手の打球に応じて、前後左右に瞬間的に動かなければならないスポーツではかかとをあげて構えることはどうもあまり良くないようです。
かかとをあげてつま先立ちでいると、反応時間が遅れるという実験結果があります。
この理由については考察が深くまで進んでいませんが、つま先立ちという不安定な状態では身体の安定を図るために、姿勢保持のプログラムが大きく働くために次の瞬時の動きに対して反応が遅れるのではないかと言われています。
つまり、不安定な状態で「構え」ることは姿勢保持のために脳が積極的に使われ、次の動作変化への切り替えが遅くなるということなのです。
つま先立ちと足を地面につけた状態ではどちらが安定しているかはいわなくてもわかると思います。
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今日のコラムに「構え」に関して、相撲の話も出ています。
オーストラリアでの相撲レスラーの話とはちょっと違うとは思いますが、「構え」の観点で相撲を取り上げたのは大変興味深いですね。
また、興味があれば読んでコメントいただければ嬉しく思います。