2011年06月30日
コーチングの成果が上がらない理由(2225)
今日の講義は、「コーチングの成果が上がらない理由」です。
一番の理由は、「コーチとの信頼関係」がうまく築けていないことにあると思うかもしれませんが、実はそうではありません。
そうであれば、一流選手には「コーチがいなくてはならない」ということになります。
圧倒的な世界ナンバーワンだったフェデラーは、長い期間コーチなしでツアーを転戦していました。
イチローは、基本的にすべてのことを自分で考えて行動します。
コーチングにおいて一番大切なことは「相互理解」だと言っているので、なんか矛盾すると感じるかもしれませんが、
大切な事は、自分の考え方や意見をちゃんと持ち、相手の意見の相容れない部分も認めつつ、「自立した自己」を確立することです。
「自立」するとは、自分で考え、自分の責任において行動することに他なりません。
そうした「自立した自己」があって、その上で、コーチとの「信頼関係」を構築することで大きな成果が期待できます。
ただ「頼る」というのとは違います。
一方的に「頼る」関係は、うまくいかなくなった時に、それを「乗り越えていく力」が双方に培われていきません。
お互いが「自立」し、ちゃんと意見を言い合い、そのうえでそれを受け入れて認めていく、こうした「積極的な受容性」が、成果を高めるために何よりも大切です。
もちろん、「やる気」も大切です。
でも、「やる気」があっても成果が出ないことはあります。
大きな理由の一つは「オーバーワーク」です。
ある野球選手のトレーニングを指導した時、「やる気」も高く、一生懸命にトレーニングしていますが、上手く絡まっていないと感じたことがありました。
それは、まさに「オーバーワーク」で、自分の求めているものと「身体的な感覚がズレている」からです。
その時は、ひたすらストレッチと基本的な動きのトレーニングを指導しました。
感覚が高まり、成果が出始めました。
こういう選手は多いものです。
「やる気」があるので、ついつい、ハードワークを求めてしまいますが、それを見極めなくてはなりません。
また、スポーツ選手には、完全主義者が多いので、それがうまくいかないことが多いとうつ傾向になってしまうこともあります。
もちろん、「不安」は大きくなります。
そういう時には、休息や、アプローチの仕方をガラリと変えるなどの工夫が必要です。
また、人間の成長には、必ずそういう「時期」があることを理解しなくてはなりません。
大切な事は、「プラトー」を正しく理解し、モチベーションをコントロールをして、次のステップにつなげていく努力をしなくてはならないということです。
成果を性急に求めるあまりに、この「時期」に無理な追い込みや「オーバーワーク」を行うことで、「変なクセ」が身についてしまったり、「イップス」になるなどの症状が見られるようなったりします。
がまん強く付き合ってあげることが大切ですね。
そういう考え方を理解していてもなお、コーチングとはむつかしいものです。
私はそんな時に思い浮かべる詩があります。
神学者、ニーバーの言葉です。
「神よ、私に変えられるものを変える「勇気」と変えられないものを受け入れる「冷静さ」とその二つを見極める「知恵」を与えたまえ。」
コーチングにおける大切な考え方を示していると思います。
今日の講義はここまで・・・。
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